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ミッチェル・レポートが全米を揺るがす!

  • 2007/12/15(土) 18:42:50

12月13日、メジャー機構が元上院議員のジョージ・ミッチェルを責任者として実施した過去の薬物使用実態を調査した報告書(既にミッチェル・レポートという俗称がつけられている)が公開されている。ここには既に引退しているケースも含む89人の名前が挙げられ、アメリカ国内に大きな衝撃を起こしただけでなく、日本にもその影響が及ぶ気配を見せている。

まず、このレポートに名前を上げられた元及び現役選手のリストを掲示してみよう。

Chad Allen
Mike Bell
Gary Bennett
Larry Bigbie
Kevin Brown
Alex Cabrera
Mark Carreon
Jason Christiansen
Howie Clark
Roger Clemens
Jack Cust
Brendan Donnelly
Chris Donnels
Matt Franco
Eric Gagne
Matt Herges
Phil Hiatt
Glenallen Hill
Todd Hundley
Mike Judd
David Justice
Chuck Knoblauch
Tim Laker
Mike Lansing
Paul Lo Duca
Nook Logan
Josias Manzanillo
Cody McKay
Kent Mercker
Bart Miadich
Hal Morris
Daniel Naulty
Denny Neagle
Jim Parque
Luis Perez
Andy Pettitte
Adam Piatt
Todd Pratt
Stephen Randolph
Adam Riggs
Armando Rios
Brian Roberts
F.P. Santangelo
Mike Stanton
Ricky Stone
Miguel Tejada
Ismael Valdez
Mo Vaughn
Ron Villone
Fernando Vina
Rondell White
Jeff Williams
Todd Williams
Steve Woodard
Kevin Young
Gregg Zaun
Manny Alexander
Rick Ankiel
David Bell
Marvin Benard
Barry Bonds
Ricky Bones
Paul Byrd
Ken Caminiti
Jose Canseco
Paxton Crawford
Lenny Dykstra
Bobby Estalella
Ryan Franklin
Jason Giambi
Jeremy Giambi
Jay Gibbons
Troy Glaus
Juan Gonzalez
Jason Grimsley
Jose Guillen
Jerry Hairston Jr.
Darren Holmes
Ryan Jorgensen
Wally Joyner
Gary Matthews Jr.
Rafael Palmeiro
John Rocker
Benito Santiago
Scott Schoeneweis
David Segui
Gary Sheffield
Derrick Turnbow
Randy Velarde
Matt Williams

中には懐かしい名前も存在するが、現役バリバリの選手も多い。しかもその中にはMVPやタイトルホルダーの顔ぶれもあるということで、1990年代以降のプレイヤーを対象としたメジャー紳士録のような内容だといえるのかもしれない。

ミッチェルの調査は2006年3月に開始されているが、ここまで報告が遅れたのは調査グループに強制捜査権が与えられていなかった点が大きな理由となっている。結局、ヒアリングを実施したのは大陪審で過去に薬物を使用したことを認めたヤンキースのジェイソン・ジアンビや、禁止薬物を選手に調達、売却したことを認めている元メッツのクラブハウス職員だったラドムスキーで、当然「窓口」は他にいくつもあったことを思えば、なおこれは氷山の一角だという印象を拭い切れないわけである。

で、あまりにも切り口の多い話の為、何から取り上げればいいのか確信がもてないのだが、取りあえず引退を余儀なくされるであろうインパクトを受けたのが、今季途中からヤンキースでプレイしたロジャー・クレメンスということになるだろう。レポートの中では「1998年に(当時在籍していた)ブルージェイズのマクナミー・トレーニングコーチからステロイドの注射を受け、これはトレードでヤンキースへ移籍した1999年以降2001年8月まで継続された。また2000年のヒト成長ホルモン注射は、ステロイドの臀部注射とは違う臍周辺に注射を行っていた」と記載されている。事実、マクナミーはクレメンスを追うように2000年にヤンキースへ移籍しており、これもこの話にリアリティを持たせるものになっている。しかも驚いたことに、注射する薬物はクレメンス本人が用意しており、ブルージェイズ時代は本拠地スカイドームに併設されているホテルの中で注射を受けていたとされ、クレメンスはマクナミーに対して「ものすごく効果がある」と注射の感想を語ったとされている。クレメンスが注射を受けていたのは2001年8月までで(途中、臍周辺への注射をクレメンスが嫌がったことから、ヒト成長ホルモンについてはそれ以前に取りやめになっていた模様)、マクナミーがヤンキースを去った後の2002年以降は使用を裏付ける証拠は出ていないとされている。
クレメンスは、この調査の間に受けたミッチェルからの面接以来を拒否しており、この点も彼の立場を悪くする要因となっているのだが、レポート発表を受けたこの日、弁護士を通じて「この内容はフェアではない。全て間違っている」というコメントを出すに留まっている。しかし、クレメンスの薬物使用については、2006年9月30日に自身の薬物使用を認めたジェイソン・グリムズリーが、その宣誓供述の中でアンディ・ペティートと共に身体能力を高める薬を使っていたと証言していたわけで、もはや使っていなかったことを信用しろという方が無理だという状況なのである。

クレメンスは昨年から、シーズン中に契約を交わしてメジャー復帰を果たす、というパターンを繰り返しており、このオフもFAになっているものの、それが来季もプレイすることを意味しているのか、それともこのまま引退するのかは今のところ不明となっている。しかし、引退後は古巣でもあるアストロズの球団顧問になるという噂が流れる一方で、メジャー選手としてではなく北京五輪のアメリカ代表でプレイしたいという意向を持っているなど、時間と共にその選択肢が増えているような状況でもある。だが、仮に五輪野球のアメリカ代表を望むとしても、五輪ではメジャー以上に薬物検査の内容が厳しいことから、北京のマウンドに立つ可能性だけは消滅したと見ていいのかもしれない。更に、通算354勝に加えて7回もサイ・ヤング賞に選ばれるなど輝かしい記録をいくつも残しているこの投手の野球殿堂入りが、薬物使用の過去によってどうなるのか?という新たな問題も生みそうなのである。実際、今年1月の投票では、資格初年度を迎えたマーク・マグワイアが同じ理由で得票を得られず、史上初めて通算500本塁打以上を記録しながら殿堂に入れない危険性を指摘されているのだ。もちろん、こうした状況はクレメンスだけに留まらない。禁止薬物使用を大陪審で問われた際にこれを否定する証言をした件が偽証罪に問われている通算762本塁打のバリー・ボンズ、通算3000本安打+通算500本塁打のラファエル・パルメイロ、通算490本塁打+首位打者1回のゲーリー・シェフィールドなど、予備軍は少なくないのだ。そして、おそらくこれから毎年のように薬物使用の過去を持つ選手の殿堂入り可否が話題になることは間違いがないのである。

一方、現役選手達への対処についてはどうなるのだろうか。
ミッチェルは、メジャーが禁止薬物を制定し、その使用に対する罰則を適用した2004年よりも前の事象がほとんどであることを背景に、悪質な場合を除いて処罰を踏み止まるようレポートに所感を付記しているが、メジャー機構のバド・セリグ・コミッショナーは「対応が必要なケースには迅速に応じる。この報告書は行動を起こす指標になる」と声明を出した上で「名前が挙がった現役選手は(内容を)精査し、それぞれの状況に応じて決める」と何もお咎めなしで終わらせるつもりがないことを明かしている。これに対してクレメンスの代理人は「クレメンスが処罰を受けることはない」と反論しており、今後メジャー機構が今回の報告をベースに何らかのアクションを起こす際には、選手会も含めた相当な逆風が起きる可能性は少ないものと思われる。
しかし、メジャー機構が薬物検査の実施を柱とした現在の反ドーピングの姿勢が具体的なものとなったのは、確かに2004年からのことになる。だが、1991年6月には当時のフェイ・ヴィンセント・コミッショナーが、筋肉増強剤を禁止薬物リストに載せることを書簡で全球団に伝えていたのだ。だが、この時は薬物検査の導入まではされず、有名無実だったわけである。その後、2001年4月にメジャー選手会の範囲が及ばないマイナー選手に対して薬物検査を義務づけることとなり、2003年にメジャーでも検査を開始、2004年から罰則が適用されることになった、という流れになっている。これを見る限り、選手だけでなく球団や機構にも薬物蔓延の原因があったと言えるように思えてならない。マグウイアはアンドロステンジオンの使用を糾弾された当初、「普通に薬局で売っている薬を飲んでいるだけだ」と困惑しながら語っていたが、結局野放しになっていたが為に選手の薬物に対する感覚の鈍化や無教養が大いに進んでしまったという側面は否定できないからである。

私は、ここまで薬物が選手に使用されてしまった背景には、ファンにも責任があると考えている。何故なら、彼らは打者に本塁打を要求し、投手には三振をおねだりするという気質を持っているからなのである。そうした選手を見たくて球場に足を運び、グッズを買えば、球団はその要求を叶える選手を優遇するし、他球団から多額の金を払ってでも欲しがるわけである。であれば、選手も本塁打を多く打てるように、三振をとれる力強い球が投げられるように、という意識から薬物に手を出すのも自然の流れになっていた、という部分を無視できないように思うのだ。
もちろん、年俸の高騰によってできる限り長く選手生命を送りたいという考えもあっただろうし、既にこの世を去ってしまったケン・カミニティのように、故障を早く治す為に口にした選手もいる。そうした選手達の思いを叶える存在として、バルコのような会社がメジャーに近づき、禁止薬物を調達した・・・、それら諸々の問題をミッチェルは「コミッショナー、球団幹部、選手会、そして選手。野球に関わる全ての人間に責任がある。問題が表面化した際、球界全体が重大さを理解せず、対処の仕方を誤った」という言葉で総括しているわけである。

しかしセリグ・コミッショナーは、そうした部分の検証を後回しにしてでも、取りあえず名前が挙がった現役選手に対して何らかの措置を行うのは確実だと思われる。何故なら、現在のメジャーは人気回復を果たした右肩上りの状況で、仮に今回のような不正な事実が明るみに出ても、正義の名の元に鉄槌を下すことでクリーンなイメージを強調すれば、更なる人気の獲得を果たせることをよくわかっているからなのだ。従って、89人の中で来季もメジャーでプレイしようと考えている選手は、どんな処罰が下るかを不安に思いながらこのオフを過ごすことにならざるを得ない。だが、やはりどこかのタイミングで、例えばセリグが自らにも減俸を課すといったペナルティを表明してもらいたいと思う。薬物使用は、選手にだけ責任をなすりつければいい問題ではないのだから。

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