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元投手と現役投手、どちらも打撃でファンを沸かす

  • 2007/08/21(火) 20:43:00

野球の神様は、時に一人の選手へいくつもの才能を授けることもある、という話である。

2007年8月9日、セントルイス・カージナルスのリック・アンキールが3年ぶりのメジャー復帰を果たした時、誰もが驚いたことはまだ記憶に新しい。彼は1999年に投手としてマウンドに立ち、翌2000年には11勝7敗の成績を残してチームの中地区優勝の牽引者として活躍を見せたのだが、メッツとの対戦となったナショナル・リーグ・チャンピオンシップの第2戦で、歴史に残るパフォーマンスを演じてその名を轟かせてしまう。この試合に先発したアンキールは、1イニングで2ワイルドピッチという信じられない投球を見せ、たった2/3イニングを投げたところで降板を言い渡されてしまったのだ。しかもこの時の内容は安打こそ1だったものの、ストライクが入らず3つの四球を与えて2失点を喫し、結局チームもその後試合をひっくり返すことができず5-6で敗れている。そして悲劇はメッツが3勝1敗で迎えた第5戦でも起きる。カージナルスは先発のパット・ヘントゲンが初回に捕まって3点を献上、メッツは4回にも3点を加えて試合の主導権を握って迎えた7回裏、カージナルスの3番手としてマウンドに送られたアンキールは、またしてもすさまじい投球を見せてしまう。彼は、投球開始前の練習で投げた最後のボールがバックネットを直撃する暴投で、シェイスタジアムのメッツファンはアンキールを「これもワイルドピッチだ!」と囃し立てたのだ。この回先頭のボーディックを歩かせた後、バントと三振で2死2塁まで何とか漕ぎつけたアンキールだったが、ここで2球続けてワイルドピッチという第2戦の更に下を行く投球を見せて、メッツに決定的とも言える7点目を与えてしまったのである。
アンキールはこの後、ストライクが全く入らない状況に陥り、2001年も何とか1勝2敗の成績こそ残したものの、もはやカージナルスの左エースと呼ばれた2000年の投球を再現することができなくなって、結局以降2年間をマイナーで暮らすことになったのだ。2004年に一瞬メジャーに舞い戻ったものの、1勝こそ揚げたが10イニングで被安打10、6失点という惨状では定着することができず、またマイナーへと降格していったのである。その後アンキールは打者へと転向し、今年外野手としてメジャーのユニフォームを見に纏ったのだ。アンキールは元々打撃のいい投手で、2000年には2本塁打を含む17本のヒットを放ち、打率.250という成績を残している。野球選手として生きる為に、彼はバットを手に道を切り開き、それを果たしたというわけなのだ。
そのアンキールは、打者デビュー戦で4打数1安打をまずマークすると、8月11日の対ドジャース戦では2本塁打、3打点でチームの勝利に貢献し、8月20日の対カブス戦までの成績も打率.313、4本塁打、7打点という素晴らしいものになっている。この為、田口の出番がまた少なくなるという事態を生んではいるものの、なかなか一皮剥けないクリス・ダンカンに代わって強打の左翼手がスタメンに名を連ねることはチームとしても大歓迎ということで、今後の活躍に注目が集まっている。

一方、元ではなく現役の投手でも強打で名を売り出している選手がいる。アリゾナ・ダイヤモンドバックスのミカ・オーウィングスがその人である。
オーウィングスは今季メジャー初昇格を果たした新人で、ここまで6勝6敗、防御率4.70とまずまずの成績を残しているのだが、それ以上に打者としての活躍ぶりがファンの間で興奮をもって語れているのだ。ここまでオーウィングスは44打数で12安打を放ち、打率を.273としているのだが、驚くなかれ安打の内容が二塁打2、三塁打1、本塁打3とそこらの控え野手が真っ青になるほどの長打力を発揮しているのだ。特にすごかったのが8月18日の対ブレーブス戦で、5打数、4安打、6打点をマークしたのである。投球の方でも7回を投げて3失点で今季6勝目を挙げているのだが、当然話題はバットに集中した、というわけなのだ。
オーウィングスは、1982年9月28日にジョージア州アトランタ近郊で生まれている。ゲインズビル高校時代にはアメリカの高校野球史上第2位となる通算69本塁打をマーク、2001年のドラフトでロッキーズから指名を受けたもののこれを拒否、ジョージア工科大へ進学すると投手と一塁手で全米代表に選出されるというとんでもない事態を生んでこれがニュースになっている。2年生の時にカブスからドラフトで指名されるもののこれも拒否し、転校したチューレーン大学の卒業年となった2005年のドラフトでダイヤモンドバックスから指名を受けて、ようやくプロ生活をスタートさせ今に至っている。


それにしても8月18日のオーウィングスのバットは大暴れという形容がふさわしい内容だった。まず2回の第一打席でレフトへ2点タイムリーヒット、4回にはレフトポール際へ2号ソロ、6回にはバックスクリーン直撃の3号ソロ、更に7回にはセンター前へタイムリーをそれぞれ放っているのだ。その為、8回のオーウィングスが打席に立つと、敵地アトランタでありながらファンがスタンディングオーベーションで迎えるという事態まで生んでいる。何故なら、ここで二塁打を放つとサイクルヒットが完成するからである。オーウィングスは初球をジャストミートしたが、打球は惜しくも一塁テシェイラのグラブに収まり偉業達成はならなかった。しかし、投手の1試合6打点は2002年にフィリーズのロバート・パーソンがマークして以来5年ぶり、1試合11塁打は1942年にボストン・ブレーブスのジム・トービンが記録して以来65年ぶりの快挙となっているのだ。投球の方では3点を失っているが、それが全てソロ本塁打で、許した安打はこの3本だけという珍記録のおまけまでついて、まさにこの日はオーウィングス・ディだったのである。
owings-pitch.jpg

オーウィングスがこの日ハッスルした理由の一つが生まれ故郷のアトランタで初めて投げたこともあったようである。この日、ターナー・フィールドには約100人の友人がスタンドに集まり、その期待にオーウィングスも応えた、ということなのだ。ダイヤモンドバックスのメルビン監督は「彼にとっては最高の里帰りになったね。彼が投手としてすごい存在なのはよくわかってる。打撃でもイケることもわかってた。でも、ここまですごいとはねぇ」と語っているが、実際にオーウィングスを2回も代打で起用したことがある彼がこんな驚きの声を残しているあたりも驚きである。
オーウィングスは敬虔なクリスチャンで、90マイル後半のストレートをビシバシ投げ込む豪快な投球スタイルでありながら、試合後は「神様のおかげ」と奢ることなく淡々とコメントしている。また、この試合を見た彼の母親も「あの子が登板する度に神様へ祈りをささげています。今日はそれがかないました」と話し、スタンドを熱狂させた息子のパフォーマンスを静かに振り返っている点が印象的だった。
次回のオーウィングスの登板は8月24日の対カブス戦ということになるのだが、試合内容をチェックするなら是非彼の打撃に注目してもらいたいところである。

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