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井口移籍について、あれこれ書いてみる

  • 2007/07/29(日) 17:11:23

とにかく、井口のファンは間違ってもホワイトソックスに捨てられた、なんて思ってはダメ、ということである。

7月27日、フィリーズとホワイトソックスの間でトレードが成立したことが発表されている。これにより井口と1Aの右投手マイケル・デュビーがユニフォームを着替えることになったのだ。
今季、日本人選手がシーズン中にトレードされるとすれば、それはマリナーズのイチローだ、という見方が最も強かったのだが、円満に残留が決定して以降、レンジャースの大塚と共に7月31日のトレード期限まで目が離せないとされていたのが井口だった。というのも井口は、今季で3年契約が終わる上に90試合に出場して打率.251、6本塁打、31打点と打撃が不調をかこっていた上、守備の乱れも顕著となっていたことから、現役時代に名ショートでならしたオジー・ギーエン監督は度々井口について苦言を呈する状況になっていたからである。しかも、今季は投手陣の不調から地区4位に沈んでいるホワイトソックスだけに、FAとなる井口と再契約はせずに若手で補い、ここで浮く金を投手、特に中継ぎ陣の充実に充てるだろうという話は、規定路線として囁かれていたのだ。
こうした背景の中で、7月26日に事件が起きた。この日、対ナショナルズ戦に出場していたフィリーズのチェイス・アットリー二塁手が死球を受け、右手が骨折していると診断されて故障者リストに入ってしまったのだ。アットリーは打撃好調のフィリーズ打線にあって、本塁打と打点で昨年のナ・リーグ二冠王となったライアン・ハワードと3、4番コンビを組む若き主砲で、今季ここまでメッツ、ブレーブスと三つ巴の地区優勝争いを展開しているフィリーズには欠かすことのできない存在となっている。何せアットリー、ここまで打率.331、17本塁打、82打点をマークしているのだから。そのアットリーがまさかの戦線離脱となったところで動いたのがホワイトソックスのウィリアムスGMだった。彼は悪夢の試合が終わった1時間後にフィリーズのギリックGMに電話を入れ、トレードを交渉をもちかけたのである。

井口にトレードの通告がされたのは27日の対ブルージェイズ戦が始まる前で、これを受けて井口は帰宅し、フィラデルフィア行きの準備を始めている。この話はすぐにホワイトソックスナインの知るところとなり、特に2005年のワールドチャンピオンの喜びを共に分かち合った選手は、一様にショックを受けたとコメントしているが、その中で特に別れを惜しんだのが誰あろうギーエン監督だった。彼は「井口と話すと泣いてしまうから」と、球場を離れる井口を黙って抱きしめ、送り出している。

一方、井口を迎えるフィリーズの面々は、歓迎ムードを醸している。その中でもほっとした表情を見せたのが、かつてヤクルトと近鉄でプレイし、赤鬼と呼ばれたチャーリー・マニエル監督である。彼は「井口はいい選手だね。チームを助けてくれると期待してるんだ。2番か7番を打たせると思う」と具体的な起用法まで口にしている。更に「ほとんど英語を話さない井口と、オレならコミュニケーションがとれる。(自分は訛っていることでも有名だが)オレの訛りが井口にうつるかもな」と続けている。また、ワールドチャンピオン獲得時にはチームメイトだったアーロン・ロワンド外野手も「打てるし、守れる。特に守備は素晴らしい。井口は言うことなしだろ。勝負強い打撃も記憶に残ってるよ。チュースが戻ってきたら、井口は三塁を守れるしな」と話している。井口は「シカゴを離れるのはやっぱり淋しい」と語ったが、すぐに「フィリーズから高い評価をして頂いたのはありがたい。プレイオフの可能性が残っているチームだし、自分にとっても刺激になる」と力強い言葉を残している。

さて、メジャーではプレイオフ行きを目指すチームが、それを確実にする為に行うトレードをフラッグシップ・ディールと呼んでいる。既に可能性を失ったチームが、年俸の抑制や若手選手との切り替えを考えて実力のある選手を放出しようとし、それを好調なチームが受け入れることで成立するトレードなのだが、井口はこのケースで移籍を果たした最初の日本人選手ということになっている。もちろん、過去にもシーズン中にトレードを経験した日本人選手は存在する。最初は1998年の野茂で、この時はドジャースからメッツへと移籍している。また、マック鈴木が1999年にマリナーズからメッツ、更にロイヤルズへと1週間で2回のトレードが施され、2001年には大家がレッドソックスからエキスポスへと移っている。野手では、昨年メッツから松井(稼)がロッキーズへと放出されてことも記憶に新しい。だが、それらのケースはどれも優勝請負人として請われたわけではなかったのである。
また井口には、このトレードでもう一つ「勲章」を得るチャンスが訪れている。それは、日本人選手として初めてメジャー両リーグでチャンピオンリングを獲得する、というものである。あのイチローや松井(秀)でさえ1つも持っていないリングを2つも獲得するだけですごい話なのだが、それが違うリーグでとなればまた格別なものだと言えるのだ。それだけに新天地でがんばってもらいたいと思うわけである。

で、その井口は早速7月28日に行われた対パイレーツ戦に7番2塁でスタメン出場し、3打数、1安打、1打点をマークしている。ナ・リーグ初安打は先頭打者として打席に入った4回の裏で、パイレーツ先発のシェイン・ユーマンの投球をレフト前に弾き返している。
ユーマンは5回裏にフィリーズ打線に捕まり、無死満塁からパット・バレルに押し出しの四球を与えて降板、2番手として桑田がマウンドに立ったが、その最初の相手が井口というなかなか面白い展開になっている。ここで井口はセンターに犠牲フライを打ち上げ、ナリーグ初打点もマークしたのだ。桑田は井口の移籍を聞き「新しい環境でがんばって欲しい。・・・まぁ、人のことは言っていられないので、自分もがんばる」とコメントしていたが、いきなり井口のがんばりを見せつけられてしまった、というわけである。しかも、その後3ラン本塁打を浴びて2回でマウンドを降りており、散々な一日になってしまった。
この試合を10-5で勝利したフィリーズは、これで貯金を5としてナ・リーグ東地区2位を堅守、首位メッツとの差3.5ゲームを維持している。ワイルドカード争いでもトップのダイヤモンドバックスを2.5ゲーム差で追っており、ここから9月の終わりまでの2ヶ月間に激闘が待っていることを匂わせている。

とにかく、もしフィリーズがポストシーズン行きを決めれば、ジョー・カーターが”ワイルド・シング”ことミッチ・ウリアムスから放ったサヨナラ本塁打でシリーズの行方も決まった1993年のワールドシリーズ以来14年ぶりの快挙となる。ポテトマンことジョン・クラックにダレン・ドールトン、デイブ・ホリンズ、レニー・ダイクストラが顔を揃え、エースの座には(2007年シーズンでメンバー唯一の現役となっている)カート・シリングが君臨していたあの個性派集団が果たせなかったワールドチャンピオン獲得が実現した時、そこに井口の笑顔があれば最高ではあるまいか。だからファンの皆さん、今年は是非”フィラデルフィアっ子”を応援してやってください。

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