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ヤンキースに5年連続ぜいたく税が課せられる。

  • 2007/12/26(水) 13:52:30

ここまで金を無駄にできるのも、やはりすごいとしか言えないわけである。

メジャー機構が、選手年俸抑制と球団間格差の拡大を防ぐ目的で(本来は選手会がサラリーキャップ導入に反対し、強行すればまたストライキで人気を失う可能性がある為実施できず、苦肉の策としてとられている)ぜいたく税について、2007年はヤンキースとレッドソックスがその徴収対象となったことを明らかにしている。
この制度は、毎年設定される課税分岐点を40人のロースター選手年俸総額が越えた場合に、越えた金額に対して40%が徴収されるというもので、今年は1億4800万ドル、来季は1億5500万ドルと線引きされている。そして今年この税をとられるのがヤンキースとレッドソックスだったというわけである。
この制度は2003年にスタートしているが、ヤンキースはその全ての年でぜいたく税を支払い、レッドソックスもこれが4回目、他に適用されたのは2004年のエンジェルスのみということで、この2球団が常に突出した支出をしている現状がまた浮き彫りになっている。

今季についてはヤンキースが2388万1386ドル、レッドソックスは606万4287ドルを支払うことになったが、これでヤンキースは過去5年の累計が1億2160万ドルとなり、遂に1億の大台に乗ったことも話題となっている。しかし、今季の支払状況を見ればそれも一目瞭然といった話なのだ。

ヤンキースで今季の年俸が1000万ドルを越えているのは以下の選手である。

Jason Giambi($ 23,428,571)
Alex Rodriguez($ 22,708,525)
Derek Jeter($ 21,600,000)
Andy Pettitte($ 16,000,000)
Bobby Abreu($ 15,000,000)
Johnny Damon($ 13,000,000)
Hideki Matsui($ 13,000,000)
Jorge Posada($ 12,000,000)
Mike Mussina($ 11,070,423)
Mariano Rivera($ 10,500,000)

・・・驚くなかれ、野手についてはメジャー3年目でまだ年俸が低い(今季は49万800ドル)のロビンソン・カノを除いて、スタメン7選手が全てここに入っているのである。そしてこの10人だけで約1億6000万ドルもかかっている・・・、そう、既にぜいたく税の課税分岐点をここで越えているのだ。恐るべき数字である。
しかし、それでもまだ救いはあった。ロジャー・クレメンスとシーズン途中に契約さえしなければ。

クレメンスは昨年同様、開幕からの登板は回避する策をとって現役生活を続行したが、ヤンキースと結んだのは投手の年俸では最高額の1年間、年俸2800万ドルというものだった。しかし支払に際してはメジャー登録された日数を分子とした日割りで計算され、結局約1744万ドルが彼の手元に渡ることとなったのだが、この支出がぜいたく税の額を強烈に推し進めてしまったのである。
クレメンスは先発ローテ崩壊(これには井川のふがいない投球が大きく関与した。猛省を促したい)の危機を回避すべく救世主としての活躍が期待されたものの、結局18試合に登板して6勝6敗、防御率4.18という低調な成績に終わっている(ポストシーズンでも1試合に登板してはいるが)。たった1つの勝ち越しさえ果たせなかった投手にこれだけ多額の金を出せば、ワールドチャンピオン返り咲きなどできるはずもなかった、ということだろうか。まぁ、過去最高だった2005年の3398万ドルのぜいたく税支払には届かなかったことを幸いともとれるだろうか、シーズン中に上乗せされたクレメンスの年俸に対するぜいたく税だけで、レッドソックスのぜいたく税額を上回っている点はもはや何かが狂っているとしか言いようがない。
一方、レッドソックスは過去4回のぜいたく税支払のうち、2回もワールドチャンピオン奪取に成功している。戦力的には互角でも、費用対効果で見れば両者の差は歴然としているのだ。

それにしても、ヤンキースが一度選手年俸の見直しを行う必要があるのは誰の目にも明らかである。ポサダ、リベラの残留は1000万ドル越のプレイヤーの数が減らないことを意味しており、セットアッパーとして今一つの成績を2年続けているカイル・ファーンズワースに今季も566万ドル、たった2勝でシーズンの大半をマイナーで過ごした井川にも400万ドル、をそれぞれ支払っているあたりは改善の余地がはっきりしているだろう。しかも、これからカノや王といった若手がどんどん年俸額を上昇させていくことを思えば尚更である。いくらスタインブレナー家にはドル札を無尽蔵に叩き出す打ち出の小槌があるとは言え(嘘です!)、これだけ浪費を繰り返していれば何らかの問題が起きて当然である。
メジャー選手の平均年俸額上昇という側面から見ても、そろそろぜいたく税に加えるもう一つの枷を用意しなければならない時期に来ているのではないだろうか。

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ファンが選ぶ今年の名場面が発表される。

  • 2007/12/23(日) 09:26:20

メジャーの公式サイトが、ファン投票による2007年の名場面をランキングにして発表している。

①クレイグ・ビジオの3000本安打(6月28日)
②リク・アンキールの打者転向初戦本塁打(8月9日)
③マット・ホリデーの顔面ヘッドスライディング(10月1日)
④トム・グラヴィンの通算300勝(8月5日)
⑤バリー・ボンズの通算756号本塁打(8月7日)
⑥アレックス・ロドリゲスの史上最年少通算500号本塁打(8月4日)
⑦ジム・トーメの通算500号本塁打(9月26日)
⑧サミー・ソーサの通算600号本塁打(6月20日)
⑨フランク・トーマスの通算500号本塁打(6月28日)
⑩ロジャー・クレメンスの現役復帰宣言(5月6日)

ざっと見て、やはり本塁打系の話が多いなという印象なのだが、その中で光るのはやはりアストロズ一筋で現役生活を終えたビジオの3000本安打が1位に選ばれたことだろう。フランチャイズ・プレイヤーに対するリスペクト、FAやトレードが当たり前という状況だからこそファンもその価値をよくわかっているという感ひしひしである。そして、ビジオが引退した後のセカンドを来季は松井(稼)が守ることになるわけだ。

3位にランクされたホリデーのプレイは当ブログでも記事にしたもので、舞台はワイルドカードを賭けたパドレスとのワンゲームプレイオフだった。延長13回裏に逆転サヨナラのホームへ突入した際、顔から飛び込んでグラウンドに倒れこんだまま意識を失い、それを喜びで動けないと勘違いしたロッキーズナインが彼の上へと覆いかぶさっていったという、一歩間違えば更に負傷を深くする可能性もあったシーンだった。しかし、球団史上2回目のポストシーズン行きを何としても手に入れたかったホリデーの思いが強く伝わってくるプレイで、今後も強く記憶に残るものとなりそうである。

一方、アメリカの編集者や放送関係者146人が投票した「ことしの話題」では第1位に選ばれたバリー・ボンズが、こちらでは5位と低調な結果に終わっている。とは言え、方や禁止薬物使用疑惑に偽証と司法妨害の罪で現在裁判の弁論を準備中であるボンズの印象が話題1位の理由、そして薬物の影が消えないまま通算本塁打記録を更新したからファンは5位に選んだ、つまりは切り口が変われば注目度も変わるとうことだったわけである。本来なら国中挙げてのお祭り騒ぎになったはずなのにね(苦笑)。

それにしても、このランキングは2007年がベテランの話題ばかりが続いたことをよく示している。薬物使用の暗い闇もあるだけに、来年は新人達のはつらつとした活躍が上位を占めて欲しいものである。

パベルボンの飼い犬、お宝を食う!

  • 2007/12/22(土) 09:51:10

マジかよ!?と思わず記事を読みながら声が出てしまった、と。

レッドソックスの守護神ジョナサン・パベルボンが、・・・いや、彼の飼い犬がとんでもないことをしたことが明らかになっている。これはレッドソックスの公式サイトが12月20日付で伝えたものなのだが、彼の飼い犬でブルドッグのボス(スタインブレナーの渾名と同じって、パベちゃん狙ってる?)が、今年のワールドシリーズのウィニングボールを齧って台無しにしてしまった、というのだ。
このボールは、ワールドシリーズ第7戦の最後の打者を三振に打ち取った時のもので、捕球したジェイソン・ヴァリテックがマウンドに駆け寄りパベルボンに手渡している。ワールドチャンピオンの記念のグッズということで、相応の価値がある「お宝」なわけだが、それを「オレの犬が食っちまったのさ。棚の上にあったボールを掠め取って、それで遊んでいるうちにボロボロさ。あいつ、皮がお気に入りなんだよ」という事態に遭遇したというのである。

レッドソックスでウィニングボールといえば、2004年に86年ぶりのワールドチャンピオン獲得を果たした際、ダグ・ミンケイヴィッツが「これを年金の代わりにする」として持ち逃げを敢行、球団史上絶対に外せないアイテムだとするレッドソックスと保有権を争うまでに至ったあの一件である。結局、ミンケイヴィッツは報復?懲戒?真の理由は定かではないが契約の延長がされず、優勝に沸いたファンもあまりに現金な話で引いたというオチになっている。今回も犬によるボール崩壊という言ってみれば記憶に残るレアケースなわけで、これももしかしたらレッドソックス伝説の一つとして今後語り継がれることになるのかもしれない。

しかし、当のパベルボンは新聞の取材に対して「残骸は保管する」と語り、ラジオ番組に出演した際には「残りは捨てた」と話すなど、”供述”が食い違っていることが指摘されている。しかもこの男、かなりのいたずら好きな為、ネタが枯れている年末に一発カマしてやろうと大法螺を吹いたのではないかという説まで流れ始めている。
レッドソックスのブレイク球団広報は「2004年の時は86年ぶりだったので、本当に特別なボールだった。犬が食べたという今回の話は、そういうならば信じるしかない。球団にとって、それは大したことではない」とコメントを出しているので、パベルボンの管理責任を問うといった法的手段や、ミンケイヴィッツのように球団から追い出すようなことにはならないようである。ま、彼を首にしたらファンが暴動を起こすでしょうがね。

何にしても、笑った話である。

福留シカゴに到着す。いよいよカブスと契約へ。

  • 2007/12/19(水) 13:10:10

いよいよ、福留のカブス入団会見の時が迫っている。12月17日にシカゴ入りした彼は、オヘア空港で氷点下4度の外気に触れて開口一番「うわー、ホントウに寒い!」と声を挙げたが、来るべきメジャー選手生活に向けて滾る気持ちを抑えるには、ちょうどいいクールダウンになったものと思われる。空港ではカブスの関係者が出迎え、そこに報道陣が輪を作るという光景がスタート、さすがは4年間、年俸総額4800万ドルというビッグディールでやってくる選手を、放っておけるわけがない、というところだったようである。
福留はシカゴにこの週末まで滞在し、メディカルチェックと契約書へのサイン、そして記者会見といったタイトなスケジュールをこなすことになるのだが、その一方で新しく始まる生活についてはほとんど何も準備ができないまま帰国を余儀なくされるということで、ファンにとってはこのあたりが心配の種になりそうである。

それにしても、通訳の調達や食事にさえ困るであろう福留をサポートする為に”チーム福留”を結成する考えを表明するなど、初めて日本人選手、しかも超大物プレイヤーを獲得するカブスの対応は、どこか初々しさが漂っていて微笑ましい。
それはファンにも言えているようで、本人がメッセージを発する前にどんな選手なのかを知っておこうということなのか、カブスの公式サイトにはたくさんの質問が寄せられているようで、福留のシカゴ到着に合わせたのか、カブスはその中からいくつかピックアップして球団としての回答を掲載している。
最もおかしかったのが「彼の名前はどう発音すればいいの?」というもので、これには「KOH-skay foo-koo-DOUGH-may」と、いくつかの単語を組み合わせた形で答えがされている。こういうことをやると、福留の名前の由来や意味などの理解に支障が出るような気もするのだが、中には「肘を手術していると聞いたが、回復はできているのか?」、「ピネラ監督は会話が可能なのか?通訳の為に(FAとなった)田口を獲得することはあるのか?」といった鋭い質問もあり、このあたりはさすがといったところだろうか。

福留は、こうした目の肥えたファンに一挙手一投足をチェックされながらシーズンを過ごしていくことになるのだが、今のところ英語の勉強は全くしていないとのことでまずはこの点が最初の関門ということになりそうである。カブスは通訳の他に家庭教師の雇用を考えているとしているが、これに日本食も作れる専属のコックや、肘のケアを担当する専属トレーナーも帯同させるアイディアを持っているというから、過保護に走らないか逆に心配になってくる。ボンズが嫌われている例を挙げるまでもなく、ベンチに特別待遇を受ける選手がいれば、他の連中はやりにくさを感じ、それがチームワークを阻害する要因にもなる。いくら高い買い物をしたからといって、そのあたりの原則を見失わなければいいな、と思うわけである。

カブスのファンにとっては、福留の加入でカブスそのものがどう変わるのか、という点も気になるところのようで、寿司屋や丼、うどんといったものを売り出すのか、本拠地リグレー・フィールドに日本企業の広告が掲示されるようになるのか、という部分は自分が観戦にいく時の心構えという面も含めて外せない命題となっている。これも、初めて日本人を迎え入れるゆえという感じがひしひしとしてくるわけだが、カブスがこれだけの大金を払って福留を獲得した裏には、もちろん彼についてくるはずのジャパンマネーを期待する部分があるわけで、その為なら日本のカラーを強めることも厭わないということになりそうである。実際、球団関係者はこの先広告に日本語が登場することを否定していないのだ。こうした流れは、福留中心にならざるをえないというカブスを待つ近い将来の姿とも言え、福留にはプレイ以外にも様々なプレッシャーが襲ってくることも意味している。それを覚悟しての渡米ではあるのだろうが、松井(稼)がこれに押し潰された過去を教訓にしてうまく立ち回ってもらいたいものである。

ただ、福留にとっての救いは、佐々木やイチローと戦った経験があるルー・ピネラが監督だということになるだろう。もちろん、監督としての手腕を見て感じ入るものがあるだろうし、彼が話すであろう先輩日本人選手の暮らしぶりは、福留にとって得難い情報になるからである。そして、5番に据える構想を持っているという彼の期待に、福留がどう応えるかが2人の関係をより深めるものとなる。

何にしても、2008年からのカブスは、福留が打たなきゃ全てがきちんと動かない、これだけは確実に言えそうである。

黒田、ドジャース入団を発表する。

  • 2007/12/18(火) 13:11:18

広島からFAとなった黒田が、ドジャースと3年間、年俸総額3530万ドルで契約をかわし、12月16日にお馴染みドジャースタジアムでお披露目会見が行われている。
約150人の報道陣が集まった会見場で、マッコート・オーナーも姿を見せた中、まずコレッティGMが「闘争心溢れる戦士」と黒田を紹介した為、いったいどんな勇ましい一言でドジャース戦士としての第一歩を始めるのかと思いきや、「みなさんこんなには、はじめまして」と日本語オンリーの挨拶を口にしている。これも場に左右されない黒田流ということなのだろう。その後は背番号18のユニフォームに袖を通し、グラウンドでシャドーピッチングを展開してカメラマン達が放つシャッター音に包まれた黒田は「ロサンゼルスへ来て、胸が厚くなった。一日も早くドジャーブルーに染まれるように努力したい」と抱負を口にしている。

黒田がドジャースとの契約を決めたのは12月15日だったとのこと。マクラーレン監督が日本にまで来て挨拶したマリナーズや、ナ・リーグ西地区を制覇したダイヤモンドバックスなど、契約年数や平均年俸で好条件を出した球団があったにも関わらずドジャースを選択した理由について、黒田は「まず家族のこと。そしてプレイする上でベストな環境ということがあった。気候が温暖で、自分のパフォーマンスを向上させるのに一番の環境だと思った」と、あくまでも居心地のよさを念頭にしていたことを口にしている。それでも今回の契約は平均年俸で歴代の日本人投手トップの数字である点に、メジャー各球団がどれだけ高く黒田を評価していたかが伺える。

だが、いくら条件は低かったとは言え、黒田にかかる期待は大きく重いもので、コレッティGMは「タフな試合になればなるほど力強くなり、ギアが一段上がる投手」と評し、ホワイトGM補佐も「一番スゴイと思うのは、走者を出すと集中力が上がること。それがすごいんだ」と語っている。また、黒田がドジャースタジアムにやってきていることを知った正捕手のラッセル・マーティンが早速電話をかけてきて「コミュニケーションをしっかりとってやっていこう」と黒田に告げている。

さて、ブルックリンからロスアンゼルスへ移転して来年がちょうど50年目にあたるドジャースは、地区4位という不本意な成績で終わった今季を反省し、1988年以来20年ぶりのワールドチャンピオン獲得も視野に、このオフは強烈な補強に動いている。その第一弾がブレーブスの主砲アンドルー・ジョーンズとの契約で、3割と20本塁打がジェフ・ケントただ1人だった打線に核ができた点は大きい。更にグラディ・リトルの首を切ってヤンキースを離れた名将ジョー・トーレを招き入れ、チーム改革をベンチサイドからも推進する構えを見せている。1999年から2000年にかけて大物監督デーヴィー・ジョンソン(現在は北京五輪のアメリカ代表監督ですな)を招聘して失敗して以降、ジム・トレーシー、リトルと小粒な陣容で7年を過ごしただけに、久しぶりに名前の売れた監督の下、どんなドジャースが誕生するのかというテーマは、他チームのファンであっても興味深いところであろう。

投手陣は、16勝をマークしたメジャー最速男のブラッド・ペニーをエースに、レッドソックスでクローザーを任されていた時代のストレートは姿を消したものの、シンカーで凡打の山を築くデレク・ロウ、そして躍進著しいチャド・ビリングズリーが12勝で並ぶという陣容になっている。さしあたって黒田は3番手を争う形になりそうだが、他にもWBCのメキシコ代表として奮闘したエステヴァン・ロアイザや、ジャイアンツ時代には試合を支配する投手としてその名を轟かせていたジェイソン・シュミットも控えており、黒田も安閑とはしていられない状況である。
だが、そんな黒田にとって大きな力になりそうなのがクローザー斉藤の存在である。黒田も「斉藤さんがこちらで素晴らしい成績を残しているのは心強い。こっちの野球は本当に楽しい。やればやるほど自分のプラスになる、と言ってもらえた」と、何やらドジャース選択の影には斉藤の存在もあったことをほのめかしてもいるくらいで、野茂や石井がこのチームにやってきた時、日本人が他にいなかったことを思えば、天国のような状況であることをよくわかっているようである。

そういう意味では、イチローと城島がいるマリナーズは更に好都合だったのでは?という感じがしないわけではないが、やはり投手には寒さが大敵という面を払拭できなかったのかもしれない。マクラーレン監督は「獲得したかった。だが前進し、次の選択肢を探らなければならない」とコメントを出しているが、4年間、年俸総額4000万ドルを蹴られたショックは簡単に拭うことはできないかもしれない。

何にしても、これで福留がカブスとの契約を発表すればFA市場も取りあえず静かになりそうである。クリスマス休暇までまだ1週間あるが、今年に限ってはもう店じまいという球団がごろごろ出てくるのではないだろうか。

アンディ・ペティート、ヒト成長ホルモンの使用を認める

  • 2007/12/17(月) 13:00:19

これからしばらくの間、こうした弁明を口にする選手が数多く登場するのかもしれない。

12月12日にヤンキースと1年間、年俸1600万ドルで契約延長を果たしたアンディ・ペティートが、ミッチェル・レポートに自分の名前が記されていることについて声明を出している。
ペティートは「2002年に肘を痛めた際、ヒト成長ホルモンが回復を早めると聞いた。2日間だけそれを試した。それが全てだ」と、まず使用の事実を認めている。しかし2005年1月までは禁止薬物に指定されていなかったことを背景に「当時の野球規則には反していなかったが、嫌な気分がしたので使用をやめた。一生でわずか2日間のことが人生を狂わしてしまった。故障者リストに入っている時だった。これが私の判断ミスだったのなら、謝りたい」と理解を求める一面も見せている。そして「禁止薬物を使ったと言われたり、書かれることはナンセンスで間違っている、そして私は傷ついている」とレポート公開後「薬物使用履歴のある選手は全て悪」という風潮に批判を加えている。

ミッチェル・リポートでは2002年に当時ヤンキースのトレーニングコーチだったブライアン・マクナミーからヒト成長ホルモンを受け取り、使用したとされている。マクナミーはブルージェイズ時代のクレメンスから薬物注射を頼まれ、彼がヤンキースに移籍した後にやはりヤンキースへやってきている。そしてクレメンスとペティートは師弟関係と言っていい親密な関係があり、それは2人がアストロズへ移籍した際にある種の美談として語られるほどだった。だが、今から思えば人のつながりではなく、”ヒト”のつながりもあったのではないか?という印象は拭えない。
何にしても、この年のペティートは4月15日の対レッドソックス戦に登板後、6月14日に復帰するまで故障者リストに登録されている。そしてこの年を最終的に13勝5敗、防御率3.27でまとめると、翌2003年には21勝8敗と自身2回目の20勝オーバーを揚げ、ヤンキースのワールドシリーズ進出に大きく貢献している。そしてこの年のオフにFAとなった彼は、アストロズへ移ってクレメンスとのチームメイト関係を継続した、というわけである。

ペティートが頭を下げながらも割り切れない思いを抱いているのは、声明の文面の端々から滲み出ているわけだが、ペティートの場合はヒト成長ホルモンではなく、ステロイド使用疑惑も降りかかっている。まだ証拠は出て来ていないようだが、クレメンスと行動を共にしてきた彼が、師匠の尻に注射針が刺さっている場面を見なかったというのも信じがたい話であるし、更に言えば同じ処方をされていた可能性の方が外野席からは信じる要素が多いのである。ヤンキースはこの声明を受けて「ペティートを支持する」とのコメントを出しているものの、メジャー機構が彼の処分を決定するようなことになれば、それに従わざるを得ない状況にあり、内心忸怩たるものがあるに違いない。ただでさえ先発ローテが苦しい来季に、一時的にでもペティートがいなくなるとなれば、頭の痛い話になることは間違いないからである。

重要なポイントとしたいのは、ミッチェル・リポートの核となっているマクナミーの証言が、ペティートの声明によって信憑性を深めたという点である。ペティートに続く者が現れれば現れるほど、デヴィッド・ジャスティスら「レポート批判組」が一挙に勢いを失いかねない情勢も見えてきている。結局、このレポートに名前が載った(引退後も含めた)選手達は、謝罪か、ウソだと突っぱねるのかの判断を迫られることになりそうである。そしてこの選択が厳しいのは、今後の人生に大きな影響を及ぼす可能性が高いということなのだ。これはこれで怖い話である。

ミッチェル・レポートが全米を揺るがす!

  • 2007/12/15(土) 18:42:50

12月13日、メジャー機構が元上院議員のジョージ・ミッチェルを責任者として実施した過去の薬物使用実態を調査した報告書(既にミッチェル・レポートという俗称がつけられている)が公開されている。ここには既に引退しているケースも含む89人の名前が挙げられ、アメリカ国内に大きな衝撃を起こしただけでなく、日本にもその影響が及ぶ気配を見せている。

まず、このレポートに名前を上げられた元及び現役選手のリストを掲示してみよう。

Chad Allen
Mike Bell
Gary Bennett
Larry Bigbie
Kevin Brown
Alex Cabrera
Mark Carreon
Jason Christiansen
Howie Clark
Roger Clemens
Jack Cust
Brendan Donnelly
Chris Donnels
Matt Franco
Eric Gagne
Matt Herges
Phil Hiatt
Glenallen Hill
Todd Hundley
Mike Judd
David Justice
Chuck Knoblauch
Tim Laker
Mike Lansing
Paul Lo Duca
Nook Logan
Josias Manzanillo
Cody McKay
Kent Mercker
Bart Miadich
Hal Morris
Daniel Naulty
Denny Neagle
Jim Parque
Luis Perez
Andy Pettitte
Adam Piatt
Todd Pratt
Stephen Randolph
Adam Riggs
Armando Rios
Brian Roberts
F.P. Santangelo
Mike Stanton
Ricky Stone
Miguel Tejada
Ismael Valdez
Mo Vaughn
Ron Villone
Fernando Vina
Rondell White
Jeff Williams
Todd Williams
Steve Woodard
Kevin Young
Gregg Zaun
Manny Alexander
Rick Ankiel
David Bell
Marvin Benard
Barry Bonds
Ricky Bones
Paul Byrd
Ken Caminiti
Jose Canseco
Paxton Crawford
Lenny Dykstra
Bobby Estalella
Ryan Franklin
Jason Giambi
Jeremy Giambi
Jay Gibbons
Troy Glaus
Juan Gonzalez
Jason Grimsley
Jose Guillen
Jerry Hairston Jr.
Darren Holmes
Ryan Jorgensen
Wally Joyner
Gary Matthews Jr.
Rafael Palmeiro
John Rocker
Benito Santiago
Scott Schoeneweis
David Segui
Gary Sheffield
Derrick Turnbow
Randy Velarde
Matt Williams

中には懐かしい名前も存在するが、現役バリバリの選手も多い。しかもその中にはMVPやタイトルホルダーの顔ぶれもあるということで、1990年代以降のプレイヤーを対象としたメジャー紳士録のような内容だといえるのかもしれない。

ミッチェルの調査は2006年3月に開始されているが、ここまで報告が遅れたのは調査グループに強制捜査権が与えられていなかった点が大きな理由となっている。結局、ヒアリングを実施したのは大陪審で過去に薬物を使用したことを認めたヤンキースのジェイソン・ジアンビや、禁止薬物を選手に調達、売却したことを認めている元メッツのクラブハウス職員だったラドムスキーで、当然「窓口」は他にいくつもあったことを思えば、なおこれは氷山の一角だという印象を拭い切れないわけである。

で、あまりにも切り口の多い話の為、何から取り上げればいいのか確信がもてないのだが、取りあえず引退を余儀なくされるであろうインパクトを受けたのが、今季途中からヤンキースでプレイしたロジャー・クレメンスということになるだろう。レポートの中では「1998年に(当時在籍していた)ブルージェイズのマクナミー・トレーニングコーチからステロイドの注射を受け、これはトレードでヤンキースへ移籍した1999年以降2001年8月まで継続された。また2000年のヒト成長ホルモン注射は、ステロイドの臀部注射とは違う臍周辺に注射を行っていた」と記載されている。事実、マクナミーはクレメンスを追うように2000年にヤンキースへ移籍しており、これもこの話にリアリティを持たせるものになっている。しかも驚いたことに、注射する薬物はクレメンス本人が用意しており、ブルージェイズ時代は本拠地スカイドームに併設されているホテルの中で注射を受けていたとされ、クレメンスはマクナミーに対して「ものすごく効果がある」と注射の感想を語ったとされている。クレメンスが注射を受けていたのは2001年8月までで(途中、臍周辺への注射をクレメンスが嫌がったことから、ヒト成長ホルモンについてはそれ以前に取りやめになっていた模様)、マクナミーがヤンキースを去った後の2002年以降は使用を裏付ける証拠は出ていないとされている。
クレメンスは、この調査の間に受けたミッチェルからの面接以来を拒否しており、この点も彼の立場を悪くする要因となっているのだが、レポート発表を受けたこの日、弁護士を通じて「この内容はフェアではない。全て間違っている」というコメントを出すに留まっている。しかし、クレメンスの薬物使用については、2006年9月30日に自身の薬物使用を認めたジェイソン・グリムズリーが、その宣誓供述の中でアンディ・ペティートと共に身体能力を高める薬を使っていたと証言していたわけで、もはや使っていなかったことを信用しろという方が無理だという状況なのである。

クレメンスは昨年から、シーズン中に契約を交わしてメジャー復帰を果たす、というパターンを繰り返しており、このオフもFAになっているものの、それが来季もプレイすることを意味しているのか、それともこのまま引退するのかは今のところ不明となっている。しかし、引退後は古巣でもあるアストロズの球団顧問になるという噂が流れる一方で、メジャー選手としてではなく北京五輪のアメリカ代表でプレイしたいという意向を持っているなど、時間と共にその選択肢が増えているような状況でもある。だが、仮に五輪野球のアメリカ代表を望むとしても、五輪ではメジャー以上に薬物検査の内容が厳しいことから、北京のマウンドに立つ可能性だけは消滅したと見ていいのかもしれない。更に、通算354勝に加えて7回もサイ・ヤング賞に選ばれるなど輝かしい記録をいくつも残しているこの投手の野球殿堂入りが、薬物使用の過去によってどうなるのか?という新たな問題も生みそうなのである。実際、今年1月の投票では、資格初年度を迎えたマーク・マグワイアが同じ理由で得票を得られず、史上初めて通算500本塁打以上を記録しながら殿堂に入れない危険性を指摘されているのだ。もちろん、こうした状況はクレメンスだけに留まらない。禁止薬物使用を大陪審で問われた際にこれを否定する証言をした件が偽証罪に問われている通算762本塁打のバリー・ボンズ、通算3000本安打+通算500本塁打のラファエル・パルメイロ、通算490本塁打+首位打者1回のゲーリー・シェフィールドなど、予備軍は少なくないのだ。そして、おそらくこれから毎年のように薬物使用の過去を持つ選手の殿堂入り可否が話題になることは間違いがないのである。

一方、現役選手達への対処についてはどうなるのだろうか。
ミッチェルは、メジャーが禁止薬物を制定し、その使用に対する罰則を適用した2004年よりも前の事象がほとんどであることを背景に、悪質な場合を除いて処罰を踏み止まるようレポートに所感を付記しているが、メジャー機構のバド・セリグ・コミッショナーは「対応が必要なケースには迅速に応じる。この報告書は行動を起こす指標になる」と声明を出した上で「名前が挙がった現役選手は(内容を)精査し、それぞれの状況に応じて決める」と何もお咎めなしで終わらせるつもりがないことを明かしている。これに対してクレメンスの代理人は「クレメンスが処罰を受けることはない」と反論しており、今後メジャー機構が今回の報告をベースに何らかのアクションを起こす際には、選手会も含めた相当な逆風が起きる可能性は少ないものと思われる。
しかし、メジャー機構が薬物検査の実施を柱とした現在の反ドーピングの姿勢が具体的なものとなったのは、確かに2004年からのことになる。だが、1991年6月には当時のフェイ・ヴィンセント・コミッショナーが、筋肉増強剤を禁止薬物リストに載せることを書簡で全球団に伝えていたのだ。だが、この時は薬物検査の導入まではされず、有名無実だったわけである。その後、2001年4月にメジャー選手会の範囲が及ばないマイナー選手に対して薬物検査を義務づけることとなり、2003年にメジャーでも検査を開始、2004年から罰則が適用されることになった、という流れになっている。これを見る限り、選手だけでなく球団や機構にも薬物蔓延の原因があったと言えるように思えてならない。マグウイアはアンドロステンジオンの使用を糾弾された当初、「普通に薬局で売っている薬を飲んでいるだけだ」と困惑しながら語っていたが、結局野放しになっていたが為に選手の薬物に対する感覚の鈍化や無教養が大いに進んでしまったという側面は否定できないからである。

私は、ここまで薬物が選手に使用されてしまった背景には、ファンにも責任があると考えている。何故なら、彼らは打者に本塁打を要求し、投手には三振をおねだりするという気質を持っているからなのである。そうした選手を見たくて球場に足を運び、グッズを買えば、球団はその要求を叶える選手を優遇するし、他球団から多額の金を払ってでも欲しがるわけである。であれば、選手も本塁打を多く打てるように、三振をとれる力強い球が投げられるように、という意識から薬物に手を出すのも自然の流れになっていた、という部分を無視できないように思うのだ。
もちろん、年俸の高騰によってできる限り長く選手生命を送りたいという考えもあっただろうし、既にこの世を去ってしまったケン・カミニティのように、故障を早く治す為に口にした選手もいる。そうした選手達の思いを叶える存在として、バルコのような会社がメジャーに近づき、禁止薬物を調達した・・・、それら諸々の問題をミッチェルは「コミッショナー、球団幹部、選手会、そして選手。野球に関わる全ての人間に責任がある。問題が表面化した際、球界全体が重大さを理解せず、対処の仕方を誤った」という言葉で総括しているわけである。

しかしセリグ・コミッショナーは、そうした部分の検証を後回しにしてでも、取りあえず名前が挙がった現役選手に対して何らかの措置を行うのは確実だと思われる。何故なら、現在のメジャーは人気回復を果たした右肩上りの状況で、仮に今回のような不正な事実が明るみに出ても、正義の名の元に鉄槌を下すことでクリーンなイメージを強調すれば、更なる人気の獲得を果たせることをよくわかっているからなのだ。従って、89人の中で来季もメジャーでプレイしようと考えている選手は、どんな処罰が下るかを不安に思いながらこのオフを過ごすことにならざるを得ない。だが、やはりどこかのタイミングで、例えばセリグが自らにも減俸を課すといったペナルティを表明してもらいたいと思う。薬物使用は、選手にだけ責任をなすりつければいい問題ではないのだから。

ジャイアンツがロワンドと契約し、松井のトレードは白紙へ。

  • 2007/12/14(金) 13:12:06

うーん、どうも日本のメディアは未だに「トレードは不要な選手がされるもの」という感覚でいるようで、もしかしたらファンもこれでよかったと思っているのかもしれないっすが・・・。

ヤンキースが松井のトレードを持ち掛けていたジャイアンツは、12月12日にフィリーズからFAとなっていたアーロン・ロワンド外野手と5年間、年俸総額6000万ドルで契約したことを発表してます。これでボンズが抜けたレフトの穴が埋まるジャイアンツは、当然松井のトレードから手を引くことになったというわけですね。
ロワンドは1995年のアマチュアドラフトでメッツから40巡目に指名を受けたもののこれを拒否、1998年のアマチュアドラフトでホワイトソックスから1巡目に指名を受けてプロ生活をスタートしています。
2001年にメジャーデビューを果たすと、レギュラーに定着した2004年に打率.310、24本塁打、69打点をマーク、2005年にホワイトソックスがワールドチャンピオンを獲得した際には、その原動力だったとして注目を集めています。しかし、長打力を望んだチームが2005年11月にフィリーズからジム・トーメをトレードで獲得した際、その交換相手としてロワンドは移籍をします。今季はゴールドグラブに選出されると共に、打率.309、27本塁打、89打点とキャリアイヤーを迎え、フィリーズの地区制覇に大きく貢献しました。このオフ、ロワンドがFAとなると各球団が獲得に動き始め、その評価が「福留よりもロワンドを獲れ!」とアメリカ各紙が記事にしたほど高かったことも、当然だったというわけです(仮においらがGMなら、福留ではなくロワンドに行きます。もちろん松井と彼を並べても一緒)。

ジャイアンツのサビーンGMは「これでトレードなんかやったら、外野手が余っちゃうよ」と苦笑しながら記者の質問に答えた上、「うちのように3年連続で成績がぱっとしない球団に来ることを、松井が承諾するはずがないじゃない」と、ちょっと自虐色も込めたコメントも加えています(これは、松井がトレード拒否権を持っていることに掛けた話っすね)。

まぁ、ヤンキースから松井の見返りに若手有望株を要求されていたことを思えば、元々ボンズに支払っていた1500万ドル超の金をベースに将来のスターを買う方が大幅な戦力ダウンに苦しむことはないわけで、ジャイアンツがこういう策に出ることも予想できた話ではあります。しかしこれ、松井にとっては決して歓迎できる流れではないんですよねぇ・・・。

ヤンキースが既に松井をトレード要員として動いていること、これはそのまま彼の立ち位置が時間と共に悪くなることを意味してます。仮に故障者もなくこのまま開幕を迎えた場合、新監督のジラルディはキャッシュマンGMの意向に沿ってレフトにはジョニー・デーモンを、DHにはジェイソン・ジアンビを起用していく姿勢をはっきり見せるでしょう。若い選手同士ならお互いを競わせることもありますが、松井がもうそういう時期を過ぎている選手であることを思えば、ベンチで非常に辛い時を過ごすことは間違いないところです。そして、自分にとっての光明はチームメイトの故障や不調でしか訪れないという厳しい現実が待っている、ということなんですな。
確かに、トレード消滅によってヤンキースが好きだという松井の思いは救われたかもしれません。しかし本当の意味でメジャーリーガー松井が救われたのかどうかと言えば・・・。もちろん、ヤンキースがダンピングしてまで出すつもりはないこともはっきりしたので、そこに恩義を感じることはできるでしょう。けれど、間違っても(スタインブレナー曰く「我がチームには戦士がいる」の)ポール・オニール的な見られ方はされていないことも明確になった今、本当にヤンキースへ身を置いていていいのかなぁ、と。

松井は右膝内視鏡のリハビリを国内で行っています。トレードについて「野球選手につきもの」と話はしていますが、このニュースをどう聞いているのでしょうか。サンフランシスコ行きを取り沙汰されていた時より、もっと複雑な心境になってるんじゃないかと思うんすけどねぇ・・・。

巨人撤退で、福留のメジャー行きが事実上決まる

  • 2007/12/10(月) 13:04:37

中日からFAとなっている福留を巡って、NPB、MLBの各球団が激しい争奪戦を繰り広げているが、12月9日を迎えた段階でどうやらメジャー行きだけは決まったようである。NPBで最も獲得に熱心だといわれていたのは(当然のごとく)巨人だったが、清武代表が「獲得へ向けて全力を傾けてきたが、情報を総合すると、ウィンターミーティングの結果を見ても、交渉を断念せざるを得ない」と撤退宣言をしたからなのだ。

巨人は4年間、総額24億円をラインに福留獲得を目指しており、この条件は阪神の4年間、総額20億円、中日の4年間、総額17億円を凌駕するものだったが、カブスが提示したといわれているのは4年間、年俸総額5000万ドル、資金難のパドレスでさえ3年間、年俸総額3000万ドルで、NPB側の想定する平均年俸額では太刀打ちできないことははっきりしている。その点について清武代表は「一つは資金的な問題、二つ目は時間的な問題」と撤退理由でもはっきりと口にしている。もちろん、巨人としてみればヤクルトを自由契約になっているラミレス、グライジンガーを獲得したとしてもまだまだ福留に注ぎ込むことはできるのだろうが、そうなると現在所属しているメンバーとのバランスが全くとれなくなるという弊害が生じることになるわけである。特に、昨年オフにFAで日本ハムから移籍してきた小笠原は4年間、総額16億円で、福留にこの規模を遥かに超える支払をするとなれば、来季以降の契約見直しを要求されるケースも十分に考えられるのだ。それほど、カブス、パドレスが提示している条件がNPBの規格をふっ飛ばすレベルだということなのである。

メジャー側でも事情は同じで、このオフのFA市場が不作で補強資金が行き場を失っているという背景はあるにせよ、いきなり平均年俸1000万ドルクラスの長期契約を遂行するには不安定要素が多過ぎるという点は否めない。何せ、まだ福留はメジャーではただの一試合も出場した経験がないのだから。
それでも、苦しい財政事情を圧して福留獲得に動いているパドレスは、元のチームメンバーだった大塚がサンディエゴの住みよさをアピールして福留に契約を勧めるといった援軍も得ているとは言え、マネーゲームでは勝利できないという結論に到達しているようである。タワーズGMは12月8日に記者から「今後も福留にオファーを出し続けるのか?」と問われ、「あと2、3日かもしれないな」と話している。つまり、次の週末を迎える前にカブスと契約してしまうだろうと彼は読んでいるのだ。今季のパドレスは2005年から2シーズン続けた地区優勝を逃したばかりか、ワイルドカードをロッキーズに奪われて貯金15の好成績ながらポストシーズン進出を果たせなかった。その原因の一つは貧弱な打線で、特に外野手の破壊力不足は早急に手を打たなければならないレベルになっている。何せ、レフトのレギュラーとして100試合に出場したタメル・スレッジの成績は打率.210、7本塁打、23打点で、既に30代を迎えているだけに大化けを期待することには無理がある。かつてはパイレーツの主砲として知られたライトのブライアン・ジャイルズも、36歳を迎えた今季は見るべき数字を残していない。ライジングスターであるアドリアン・ゴンザレスだけが辛うじて100打点に到達している現状を見れば、誰だってWBCで活躍した福留に福音を求めたくなるわけである。しかし、そんなパドレスの夢もカブスの資金力の前にはなす術がないのだ。

身売りする時にできるだけ高い値段で引き取らせたいから、とここ2年に渡って強烈な補強を繰り返しているカブスについては後ろ向きな噂も流れているが、とにかく羽振りのよさではナ・リーグ1だと言っていい状況である。デレク・リー(今季年俸1325万ドル)、カルロス・ザンブラーノ(今季年俸1240万ドル)、アルフォンソ・ソリアーノ(今季年俸1000万ドル)と1000万ドル越えの選手だけで3人を数え、更に900万ドルのアラミス・ラミレスがこれに続いているのだ。松坂に1億ドルをかけたレッドソックスが金の話ではこのところ目立っているが、現在の陣容に平均年俸1250万ドルの福留が加わるとなれば、カブスも引けをとってはいないと言えるわけである。
もちろん、これだけの大金を注ぎ込んで目指すものは、1908年を最後に遠ざかっているワールドチャンピオンの獲得である。ちょうど100年目となる2008年に掲げる目標としてはこれ以上フィットするものなどないのだ。従って、福留にかかるプレッシャーも相当なものと思われるが、その負荷分の代償もこの年俸に含まれていると覚悟を決める必要もあるということなのだ(もちろんこの負荷の中には、シカゴの辛辣なファンから浴びせられる不満の声も入る)。

福留本人はこの日「先生(日本での代理人である弁護士の水戸氏)と代理人(ジョー・アーボン)と色々話しながら考えたい。これからゆっくり考えます」とコメントするに留まっているが、事実上メジャー一本となった今週からは、もう泰然としてはいられないはずである。

タイガース、マーリンズからウィリスとカブレラを獲得する。

  • 2007/12/06(木) 13:08:11

うーん、こう来たか!という感じである。

タイガースとマーリンズが6対2の大型トレードで合意に達したと報じられている。これは12月3日から始まっているウィンターミーティングの中で交渉がまとまったもので、対象となるのは以下の8選手となっている。

タイガースからマーリンズへ
①アンドルー・ミラー投手(MLB/5勝5敗、防御率5.63)
②キャメロン・メイビン外野手(2A/打率.400、MLB/打率.143、1本塁打、2打点)
③エウロジオ・デラクルーズ投手(MLB/0勝0敗、防御率6.75)
④マイク・ラベロ捕手(MLB/打率.256、1本塁打、18打点)
⑤バーク・バーテンホップ投手(1A/10勝6敗、防御率3.13)
⑥ダラス・トラハーン投手(2A/12勝6敗、防御率3.87)

マーリンズからタイガースへ
①ドントレル・ウィリス投手(MLB/10勝15敗、防御率5.17)
②ミゲル・カブレラ外野手(MLB/打率.320、34本塁打、119打点)

このトレードは、元々ウィリス、カブレラ両選手の年俸高騰を控え、その支払が無理だといわれていたマーリンズが、過去に何度かアクションを起こしていたものがようやく陽の目を見たというものとなっているが、関係者を驚かせたのは、この2人をセットで獲得する手段をタイガースがとったという点にある。何しろ、エースと主軸を一挙にゴボウ抜きにしたのだから。

タイガースからは若手有望株が6人も移籍する形になっているが、特にメイビンは2005年のアマチュアドラフトで1巡目に指名を受けてプロ入りした「大物」で、化ければカブレラに匹敵する存在になる可能性があるだけに、ある意味明るい将来を投げ打ってでも手応えのある今日を選んだ、と言えるものになっている。

この結果、タイガースの陣容はア・リーグトップと呼べる強力な陣容となる。何しろ、2006年にワールドシリーズ進出を果たし、今季も地区2位で最後までワイルドカードをヤンキースと争うまずまずのシーズンを送っていたこのチームに、横綱が2人もやってきたようなものだからである。
スタメンを予想してみるとこんな状況となる。

捕:イヴァン・ロドリゲス
一:ホセ・ギーエン
二:プラシド・ポランコ
三:ブランドン・インゲ
遊:エドガー・レンテリア(ブレーブスから移籍)
外:マグリオ・オルドネス
外:カーティス・グランダーソン
外:ミゲル・カブレラ
指:ゲイリー・シェフィールド

・・・まったくもって、恐ろしいメンバーである。

一方、投手陣も強烈だ。ローテはこの5人ということになるからである
①ジャスティン・ヴァーランダー
②ドントレル・ウィリス
③ケニー・ロジャース(FAだが残留するはず)
④ネイト・ロバートソン
⑤ジェレミー・ボンダーマン

全員二桁勝利の可能性があると見ていい布陣である。

しかし、ウィリス、カブレラ共にメジャー6年目を迎える来季終了でFA権を獲得する為、場合によってはそこで両者を失うリスクは避けられない。それでもトレードに向ったのは、ワールドチャンピオンを獲得できる下準備はできている、という感触をつかんでいるからに他ならない。だからこそ、レッドソックス、ヤンキースにとって、タイガースは侮り難いライバルになる可能性が高いのだ。覚悟の度合いが違うからである。
逆に、マーリンズは1997年の時と同様、2003年のワールドチャンピオン獲得からちょうど4年でチャンピオンリング所持者が全員チームを去ることとなり、ファンにとっては淋しいシーズンがまた続くことは間違いがない。

それにしても、このトレードには驚かされた次第である。


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