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ヤンキース、A-RODとの契約に総額3000万ドルのボーナス条項を加える。

  • 2007/11/27(火) 00:46:31

先日書いたアレックス・ロドリゲスの記事の中でも「ニンジンぶら下げ作戦」の可能性をやんわりと取り上げてはいたのだが、まさか本当にヤンキースがこんな前代未聞の方法を実行に移すとは思わなかったわけである。

11月25日、残留で合意していたヤンキースとアレックス・ロドリゲスの契約交渉が大詰めの段階を迎えていることが報じられている。その内容は既報の通り10年間、年俸総額2億7500万ドルがという線になったものの、それにボーナス条項が付帯していたことも明らかになったのだ。しかも、条件が満たされるとその部分だけで3000万ドルになるというとんでもない内容だったのである。ヤンキースは選手との契約の中に出来高を取り入れないスタイルを貫いていただけに、いきなりそれを放棄したことのみで十分驚くに値するのだが・・・。

ロドリゲスは、現在歴代17位となる通算518本塁打を放っている。500号到達の最年少記録を持つ彼は、当然バリー・ボンズの持つメジャー記録の通算762本塁打を塗り替える可能性を秘めているわけだが、それに並んだ時、そして新記録を達成した時にもボーナスを出そうというのである。それだけではない。ウィリー・メイズが持つ歴代4位の通算660本、3位であるベーブ・ルースの714本、そして2位のハンク・アーロンが持つ755本を越える毎に600万ドルずつ支給しよう、というのだ。つまり、5つのハードルに対して各600万ドルで合計3000万ドルの大盤振る舞いをするわけである。平均年俸2750万ドルがベースになって更に上乗せ、これはもう大変な話なのだ。
というのも、2004年にロドリゲスがヤンキースへ移籍して以降、今季までの4シーズンで年平均43本塁打を放っているロドリゲスは、このままのペースで打ち続けるとまず2011年にメイズを、2012年にルースを越えることになる。更に2013年にアーロンを抜いて、ボンズに並んだ上に記録を塗り替えるのだ。つまり、この最終年にはボーナスだけで1800万ドルが支給される可能性がある、ということなのである。総額3500万ドルを越える、こんな莫大な金を1年で手にするスポーツ選手はもうロドリゲス以外現れることはないと言っていい。

ヤンキースは2000年にワールドチャンピオンを獲得して以来、栄光の座につくことが叶わないままとなっている。スタインブレナー・オーナーの体調が以前ほど優れてはいないことを思えば、目の黒いうちにもう一度優勝パレードを見たいという願望が日に日に強くなっていることは想像に難くない。その為にはどうしてもロドリゲスの打棒が必要だという気持ちになるのもよく理解できる話である。だがしかし、このボーナスをただ歓迎するわけにもいかないのだ。メジャー選手の年俸の相場を著しく混乱させる可能性がある上、代理人に新たな武器を与えかねないものだからである。
通算記録にボーナスがつくなら、シーズン単年の成績がないがしろになる展開もないとは言えないのだ。誰それを抜くにはあと100奪三振でいい、100打席立てばOK、そんな流れが出来上がってしまうと、選手を発奮させるはずのボーナスが手抜きを生む土壌にもなってしまいそうである。

メジャー機構は、選手契約におけるボーナス的なものについて登板数や打席数などを条件とすることは認めているが、打率、本塁打数、セーブ数、勝利数などは禁止している。その観点で言えばロドリゲスの場合も否定されて然るべきだが、メジャー機構の関係者は「従来の個人成績と違い、ロドリゲスの場合は営業的な側面が強いこともあり、認められるだろう」と話している。つまり、ホームラン記録の更新が歴史的なイベントになる可能性が高く、それによってロドリゲスは一般の選手以上に公式の場に立つ回数も、サインを求められる機会も跳ね上がる、要するにグラウンド外での仕事が増えることに対する対価として扱うという見方がされるという流れなのだ。
しかし、そうした線引きはどうしても曖昧なものになるように思えてならない。なぜ通算本塁打数だけが是なのか、通算奪三振記録や通算登板回数記録をその範疇に入れてはいけない理由は何か、といった議論を今のうちにしっかりやっておかないと、代理人にうまく絡めとられてしまうのが関の山なのではないだろうか。

ただ、こうした先行き不透明な感が漂う中で、ある意味ロドリゲスによってコケにされたスコット・ボラスが、契約の細かいところをまとめる作業をしている点に笑ってしまうわけである。もしかしたら、これが代理人の本来あるべき姿ではないのかとも思うのだが、いかがだろうか。

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ジョー・ケネディ、この世を去る

  • 2007/11/25(日) 13:13:32

またか?という言葉が脳裏をよぎったのは私だけではないはずである。ブルージェイズからFAとなっていたジョー・ケネディ投手が、突然死してしまったのだ。
警察の発表によると、ケネディはサンクスギビング・ディの休日をフロリダにある妻の実家で過ごしていたが、11月23日午前1時15分頃になって寝室で突然苦しみだしたという。病院に搬送されたが、そのまま死亡してしまったのだ。死因はまだ不明だが、ケネディの代理人は「心臓発作か脳動脈瘤ではないか」とのコメントを出している。何にしても、手を施す間もなく他界してしまったことだけは確かなようなのだ。ブルージェイズのゴドフリー社長は「野球選手でなくたって、28歳の若さで死去するなんてあまりにも悲劇だ」とコメントし、ケネディのドラフト指名を推したレイズのスカウト、ワイズマンは「メジャー昇格を目指して、ものすごく努力していた投手だった」と話している。また、帰国しているレイズの岩村もトークショーの中で「(自分と同じ)28歳でしょ?言葉が出てこないよね。なんて言ったらいいのかわからない。せっかくメジャーに上がったのに、その若さで死ぬのはもったいない」と話している。

ケネディは1979年5月24日にカリフォルニア州ラメサで生まれている。1998年のドラフトでレイズから8巡目に指名を受けてプロ入りしているが、メジャー初登板は2001年6月6日のことだった。3年間で18勝31敗という成績を残したケネディは、2003年12月14日に成立した三角トレードによってロッキーズへ移籍、2005年7月13日にはアスレチックスへとトレードされている。
今季はシーズン中にウェバーにかけられてダイヤモンドバックスが獲得の手を挙げたが、11日間在籍しただけで解雇され、8月28日からブルージェイズのユニフォームを着ていた。メジャー通算7年間で222試合に登板し、43勝61敗2セーブ、防御率4.79という成績を残している。

それにしても、2006年10月11日にヤンキースのコリー・ライドルが自家用機でマンハッタンを飛行中に激突死、2007年4月29日もカージナルスのジョシュ・ハンコックが交通事故でそれぞれ亡くなっているわけで、約1年で3人もの現役選手が他界する事態は異常と言えるものである。少なくとも1993年3月22日にインディアンスのティム・クルーズとスティーブ・オーリンが乗っていた釣り船が転覆して溺死以降、2002年2月15日にパドレスのマイク・ダールがキャンプへ向かう途中に交通事故を起こして亡くなるまで約9年間は誰も死ぬことはなかったのだ。2002年6月22日にカージナルスのダリル・カイルが心臓疾患で突然死し、2003年2月17日にオリオールズのスティーブ・ペクラーがキャンプ中に熱射病で倒れて亡くなった時も集中したが、そこからライドルまではやはり誰も命を落とすものはなかった。一度始まると連鎖する傾向は確かにあるようなのだが・・・。

カイル以降、死亡したのは全て投手というのも気になるところで、松坂や岡島、そして来季からメジャーでの登板が予想されている小林、薮田も含めて、体調管理には万全を期し、無謀な運転や危険なバカンスからは距離を置くようにしてもらいたいものである。

ボンズ、偽証罪で起訴される。

  • 2007/11/20(火) 10:55:07

おそらく彼は、2003年12月4日のことを後悔するに違いない。そう、自分のトレーナーであるグレグ・アンダーソンから与えられた薬とクリームについて質問されたアメリカ連邦大陪審において、「ステロイドだとは知らずに使用した」と証言したことを、である。

11月15日、メジャーのみならずアメリカ中に衝撃が走った。ジャイアンツから契約延長はしないと伝えられ、追い出されるようにFAとなったバリー・ボンズが、連邦大陪審によって偽証と司法妨害の罪で起訴されたことが明らかになったからである。
ボンズが罪に問われたのは以下の証言についてである。

大陪審「アンダーソンからステロイドを受け取ったか?」
ボンズ「それと知って摂取したことはない」
大陪審「2000年11月の(薬物)検査で2種類(の薬物)に陽性反応が出た、とのバルコ社の書類がある」
ボンズ「その書類は見たこともない」
大陪審「2001年の(バルコ社の)書類にも(Barry Bondsを意味する?)BBのイニシャルがある。この間、ステロイドを受け取ったことは?」
ボンズ「全く無い」
大陪審「ヒト成長ホルモンを受け取ったことは?」
ボンズ「ない」
大陪審「アンダーソンから疲労回復効果がある亜麻油を初めて勧められたのは?」
ボンズ「今年(2003年のこと)までない」

要するに、薬物使用については全てアンダーソンが画策し、ボンズは与えられるまま中身を知らずに服用していた、という姿勢をとったのだ。あれから約4年が過ぎて迎えた2007年11月、司法当局は「ボンズがステロイドを使用したことを示す明らかな証拠がある」とコメントを出し、起訴に至ったというわけである。
ボンズの弁護士であるジョン・バリスは「以前からバリーを捕まえようという動きはあったが、(起訴には)驚いた。どんな新しい証拠があるのか知りたい」と、何を今更という空気を漂わせる発言をしているが、メジャー機構のバド・セリグ・コミッショナーは「起訴を非常に重大なものと受け止めている。我々は根気強く違法な薬物の使用撲滅を続ける」と声明を出し、関係者はボンズの有罪が確定した場合に、セリグがボンズの本塁打記録を取り消す意向を持っていることを示唆している。

偽証の場とされた2003年12月4日の大陪審は、栄養食品会社バルコが禁止薬物を野球を含むいくつかのスポーツの選手に供与したことから起きたドーピングスキャンダルの全容解明の為に実施されたものだった。仮に偽証による有罪が確定した場合、最大で禁固5年が言い渡される可能性があるがアメリカの場合はひと括りで量刑は決まらず、偽証1件につき禁固X年という形がとられる為、偽証の可能性のある4件と司法妨害1件が全て有罪となればトータルで最大禁固30年となることをアメリカの各メディアは伝えている。

ボンズが薬まみれだと言われ始めたのは、最近のことではない。メジャー記録であるシーズン73本塁打を放った2001年の段階で既にそうした話は広く囁かれていたのである。ボンズはメジャーデビューを果たしたパイレーツ時代を、俊足巧打で守備のうまい外野手というスタイルで過ごしている。確かに本塁打が一桁に終わった年はなかったが、40本の大台に届いたのはメジャー8年目の1993年で(46本塁打でナ・リーグ本塁打王となっている)、これはジャイアンツに移って初めて迎えたシーズンだった。そして、ホセ・カンセコだけが持っていた40本塁打、40盗塁の「40-40」を1996年に達成する一方、2回目の本塁打王のタイトルを手中にできないまま2001年を迎えている。
ボンズは、1998年にカージナルスのマーク・マグワイアとカブスのサミー・ソーサによって突如始まった本塁打記録を塗り替えながらのタイトル争いに全米が熱狂した様を見て、これをうらやんだと言われている。彼の薬物使用はここが原点になっていると言われており、事実ボンズの身体は年々大きくなっていったのだ。そして2001年、彼はマグワイアが持っていた記録を上回るシーズン73本塁打を放って全米のファンを興奮させたのである。
しかしボンズにとって誤算だったのは、それまで全くノーケアだった薬物使用を(何といっても、IOCが禁止薬物に指定している筋肉増強剤アンドロステンジオンをメジャーは公認にしていたのだ!)、メジャー機構がオリンピックの基準に合わせる形で禁止する姿勢をとったことだった。その流れはメジャー選手会の反対派が声を挙げる隙さえ与えず薬物検査導入へと進み、今や適用対象はどんどん増える状況となっている。世論やメディアもこうした「クリーンな野球」を求める姿勢を受け入れ、それはあのマグワイアが資格初年度で殿堂入りできないという形でも現れている。彼が現役時代にステロイドを使用していたことが投票を鈍らせた為で、マグワイアは通算500本塁打以上の選手で唯一殿堂入りを逃す存在になるとまで言われている(おそらく、あと5、6年後に今度はソーサが通算600本塁打以上で殿堂不可の「記録」を作るか?が話題になるはずである)。もちろん、以前は普通に使えていたものを後になって取り沙汰された選手たちもかわいそうではあるのだが、使ったかどうかを明言するかどうかは別問題なのだ。
ボンズは偽証に問われるが、当時全く同じ状況に置かれていたヤンキースのジェイソン・ジアンビは現在薬物使用についての批判を受けていない。なぜか。彼は2003年12月11日の大陪審で、「私は少なくとも過去3年シーズンにおいてステロイドを使い、ヒト成長ホルモンを注射した」と告白しているからなのだ。冒頭で「ボンズは後悔しているはずだ」と記したのは、ジアンビのように全てを認めていればここまで追い詰められることはなかったからなのである。これもボンズが犯したもう一つの誤算だったといえるだろう。

何にしても、これでボンズは実質的に現役引退である。メジャー各球団がボンズ獲得に動くことは倫理面も含めてありえないばかりか、今後彼は弁護士との相談で日々を費やすことになるはずだからである。大陪審の自信に満ちたコメントを見るにつけ、ボンズ側は全面対決ではなく検察との司法取引に応じる可能性が高い。つまり有罪を認める代わりに減刑を求める形で決着を見るわけである。この場合、大陪審が抑えた証拠が裁判の場で公開されることはないものと思われるが、ボンズが偽証を認めた段階でこの話はもう終わりなのだ。ボンズは嘘をつき、薬で本塁打を打っていた、これだけで十分なのである。

ボンズ起訴の報を多くのファンや野球関係者は拍手で聞いたものと思われる。しかし、嘆きの声を挙げている人達もいる。それは野球選手のサインボールやカードなどを扱うディーラーやコレクターで、ボンズ関連のグッズが早速値崩れを起こしている現実に頭を痛めているのだ。しかも、メジャー選手会に所属していないボンズのグッズは卸値が高く設定されている為に、売り値が下がると他の選手の場合以上に損失が大きくなるというおまけまでついている。ショップ関係者の中には「アメリカに住む人は皆ボンズが嫌いなんだ」と話している者もいるようである。

9月20日に契約は今季限りと通告したジャイアンツの判断は極めて正しかった。
9月26日に756号本塁打のボールを75万2467ドルで落札したファッションデザイナーのマーク・エコが、このボールに参考記録を意味する「*」をつけて野球殿堂に寄贈することを表明したが、この措置も正しいものとなりそうである。

さらば、バリー・ボンズ。今だからはっきり言わせてもらいたい。

私も、お前が嫌いだ。

A-ROD、ボラス抜きでヤンキース残留に合意!

  • 2007/11/17(土) 10:10:02

「シンシアと私は居心地のよさ、落ち着き、そして幸せをもたらせてくれるこのチームを生活の基盤としてきた。結果的に私は、共通の友人を通してヤンキースに連絡をとり、メッセージを伝えた。ヤンキースの考えもある程度わかっているし、状況を受け入れ理解もできた。それ以来、私はスタインブレナーファミリーと直接話し合ってきた」
これは現在FAとなっているアレックス・ロドリゲスが自分のブログに書き込んだコメントである。そう、代理人であるスコット・ボラスを抜きにして、ヤンキースと彼は直接交渉を行ったというのだ。ロドリゲスは「健全な話し合いの中で、お互いに感情や希望を率直に共有することができた。これからも対話を続けていくことになる」と宣言し、11月15日には10年間、年俸総額2億7500万ドルでの再契約に合意を見てしまったのである。

2001年にレンジャースと結んだ10年間、年俸総額2億5200万ドルの契約が7年目を終了した際にFAとなる権利を有する、という条項を含んでいたことから、ボラスはこれを盾にヤンキースと交渉を行い、5年間、年俸総額1億5000万ドルの条件を引き出すことに成功したが、ボラスは最低でも年俸総額3億5000万ドルだとしてこれを突っぱね、ロドリゲスを各球団に値踏みせさせていたはずなのに、自分を抜きにしてロドリゲスが交渉をまとめてしまった、というわけである。これはボラスにとって大きな計算違いであると同時に、自身のサクセスストーリーの中核を担う存在だったロドリゲスに裏切られ、更には自分の立場を否定される屈辱を受けたということにもなり、彼のスタンスそのものを揺るがす可能性を秘めた大問題と言える。そしておそらく、彼に苦汁を味あわされてきた各球団のGMの中には、ざまあみろと手をたたいている者がいるはずである。

ロドリゲスがなぜ単独行動に走ったかについては、ヤンキースに対する愛着の念がまずあったものと思われる。ポストシーズンで毎度のように極度の不振に陥る彼をかばってきたジョー・トーレがチームを去ったとは言え、2004年にレンジャースから移籍してきたロドリゲスのシーズン成績はメジャートップクラスを維持してきたことを思えば(何といってもMVP1回、本塁打王2回、打点王1回である)、水が自分に合っていると感じて当然である。
そして、あまりに高い要求によって移籍先が無くなることを危惧していたことも伺える。FA宣言以降、獲得に本腰を入れていると見られていたのはエンジェルスだけで、しかも条件はボラスの引いた線よりも下だったと言われている。トーレが監督に就任したドジャースも一時本命視されたものの彼がリップサービスで「一緒にやる可能性を否定しない」と語ったのみで、具体的にどこまで話が進んでいたかは疑問だ。来季プレイができないかもしれないという不安をロドリゲスが感じてもおかしくはないし、契約している選手に快適な環境を与えることが代理人の仕事である以上、ボラスがその責を果たしていなかったことも浮き彫りになったと言えるわけである。
何にしても、ロドリゲス本人が頭を下げてきたことをヤンキース側が不快に思うはずがなく、スタインブレナー・オ-ナーの長男でヤンキース副社長のハンク・スタインブレナーは「過去は過去でしかない。一つだけ確実なことは、ロドリゲスがこのチームに残りたがっているということだ」と語り、仮に交渉の席にボラスが参加しても「交渉のポイントははっきりしている。(誰が来ようが)問題ではない」と勝利宣言とも言えるコメントまで残したのだ。そしてあっさりと両者はボラス抜きで合意してしまったのである。ボラスにとってはいい面の皮だ。

ハンクは残留が決まったことを受けて「ボラスはロドリゲスの為になることもやってきたかもしれない。だが、今回は違う。代理人が市場原理を無視して最適とは言えない判断を下せば、それは選手を傷つけることになる。今回の一件はその典型的な出来事だった」と総括を含めてボラスを批判している。そして「ヤンキースで本塁打記録を狙える選手はベーブ・ルースしかいなかった。ミッキー・マントルは故障が多かった。(ロドリゲスが)歴史的偉業を達成すればボーナスだ」とロドリゲスの鼻先にニンジンをぶら下げる余裕まで見せている。

ロドリゲスが自身のブログで共通の友人と称した人間は、投資信託会社ゴールドマン・サックスの幹部だった。ヤンキースがこの投資信託との取引があることを利用して、ロドリゲスがこの中にいる知人に仲介を頼んだというのが真相だったわけである。ボラスはロドリゲスが単独で交渉を行っていることを明かして以降、メディアの取材申し込みに無言を貫いているが、自分が蚊帳の外に置かれていたことに対する見解を出しあぐねていることは容易に想像できる。しかもボラスは、ロドリゲスの動きによって今後大きく影響を受ける可能性もある。なぜなら、これまでボラスによって肝を冷やされた選手は少なくないからである。昨年のオフにポスティングでのメジャー入りを目指した松坂に対して、レッドソックスが交渉権を獲得した際、期限ギリギリまで契約がまとまらなかたことで松坂は気をもんだし、ドジャースからFAになったJ・D・ドリューは強気な交渉の反動で故障の可能性があるのに高く売りつけたと批判を受けている。選手にとっても高額な契約は望むところではあるのだろうが、その為に新たな問題を抱えることになるのは本意ではないはずで、今回はロドリゲスがそれを証明した格好になっている。吸血鬼とまで呼ばれたボラスの強引な手法の限界がここで示されたと言っていはずである。

気になるのは、ボラスがロドリゲスとヤンキースの契約成立によって報酬を受けるのかどうかという点である。間違いなく彼は今回のFAで大きな利益を目論んでいたはずで、3億5000万ドルという線引きはそのまま彼の利益計画を表すものだったと思われる為、報酬なしで済ますことは考えられない。しかし常識で考えればロドリゲスが2億7500万ドルの4ないし5%をボラスに差し出すのもおかしな話である。なぜなら、彼は100%の仕事をしていないのだから。従って、今後はロドリゲス対ボラスの金銭闘争が勃発する可能性もあるわけだが、ロドリゲスの性格から言えば手切れ金としていくらかを払って彼との関係を終わらせるのではないかと思われる。そしてそれが、ボラス時代の「終わりの始まり」になればいいな、というのが私の率直な気持ちである。本来は黒子でいいはずの代理人が、メジャーを牛耳るおかしな状況が早く過ぎればいいという願いを込めて、そう思っている。

このオフのカブスも、ナ・リーグのヤンキースになりそうである。

  • 2007/11/14(水) 13:28:31

昨年オフは総額3億ドルもの補強資金を投入し、アルフォンソ・ソリアーノ、テッド・リリー、そして超お買い得だったクリフ・フロイドらをラインナップに加えた上、名将ルー・ピネラを監督に招いて(レベルはメジャーワーストと言われたものの)地区制覇を果たしたカブスが、このオフも大暴れするかもしれない。しかもそのターゲットは、中日からFAとなっている福留だと言うのである。

11月12日、カブスは今季135試合に出場して打率.285、5本塁打、66打点をマークしたジャック・ジョーンズ外野手をユーティリティ・プレイヤーのオマー・インファンテとの交換でタイガースへ放出している。確かにジョーンズの打棒は湿りがちだったとは言え、センターを守らせる上では何ら問題なく、更には来季年俸も500万ドルとお手頃でありながら、カブスはその500万ドルの一部を負担するという条件まで付帯させてトレードを成立させているのである。
これは、明らかに現在FA市場に「売り出されている」外野手を獲得する為に席を空けたもので、ヘンドリーGMも「新戦力獲得への気持ちがいかに強いかをはっきり示した。スピードがある左打ちの選手が欲しい」とこれを認めるコメントを出している。だが、この中で気になる部分がある、と記事にしたのがシカゴ・トリビューンだった。

現在FAとなっている大物外野手と言えば、メジャーデビューから一貫してブレーブスのユニフォームをき続けてきたアンドルー・ジョーンズ、そして一時はヤンキースが松井かジョニー・デモーンを追い出してでも獲得するのでは?とまで言われた元ツインズのトリイ・ハンターということになるわけだが、この2人はどちらも右打なのである。その為「ヘンドリーGMの狙いはズバリ、福留だ!」という記事が同紙に踊ったというわけなのだ。これに呼応したのか、シカゴの地元紙であるノースウェスト・ヘラルドでも福留を取り上げて「年俸は1000万ドルから1200万ドルくらいになる?」という憶測記事を掲載している。メジャー経験0の30歳の外野手にいきなりこの数字は乱暴だろうという感覚ではあるのだが、カブスのマクドナフ社長は早々にチームの年俸総額アップを了解しており、これがヘンドリーGMの鼻息を荒くしているわけで、もしかしたら本当にこの規模で複数年契約にゴーサインを出してしまうのでは!?という印象なのである。

カブスの「欲しい欲しい」状態は、なんとロッキーズからFAになっている松井(稼)にも及ぼうとしているようで、コロラドの地元紙デンバー・ポストは「ロッキーズは2年間、年俸総額600万ドルが松井に出せる限界」だと報じ、これに対してカブスは3年契約を提示してくるだろうという予想記事を掲載している。ロッキーズとしては是非松井に来季もセカンドで起用したい意向を明らかにしており、松井もコロラドの水に合っていることを広言しているが、カブスの条件が桁違いとなればそれを蹴るなという方が無理、ということになりそうなのである。松井に対してはフィリーズ(セカンドにはチェイス・アットリー、ショートにはジミー・ロリンズがいて、松井を起用する場所なんてないのにねぇ・・・)やホワイトソックス(ここは井口を出しておきながら、セカンドの人材難を払拭できないという、よくわからないことをやってますな)、そしてビジオ引退によりいよいよ本気でセカンドを探さなければならなくなっているアストロズも興味をしていると言われているが、せっかくジョーンズを放出して獲得したインファンテを場合によっては外野の控えにしてでも松井を獲りたい(らしい)カブスとは、はっきりと温度差があるように見えるわけである。

しかし、景気のいい話ばかりではない。というのも、カブスにはここのところずっと身売りの話がくすぶり続けているからである。現在必死に主力選手の入れ替えを図っているのは、球団の価値を高め、それに合わせて売り値も釣り上げようとしているのでは?という見方がされているのだ。仮にそれが真実であるなら、カブスが目指すものは「常にポストシーズンを狙える戦力」の保持と、いざという時に高く売れる選手の有無、そして付加価値の高い選手の確保ということになるわけである(要するに、会社を売る時と概念は一緒ってことですね)。福留は戦力として魅力があるだけでなく、ジャパンマネーの恩恵ももたらすという得難い要素もついてくるだけに、こうした背景からカブスが本気で契約を目指そうとするのは十分に「アリ」な話と言えるのだ。だが、そうして構成されたベンチがきちんとそれぞれのパフォーマンスを果たせるのかと言えば、何とも言えないところではある。まぁ、普通の感覚で言えば、球団をよく見せる為の陳列品だ!と言われているような空気を居心地がいいと言う人はいないと思うのだが・・・。
また、今季のカブスと言えばやはり試合中に殴り合いをしたカルロス・ザンブラーノとマイケル・バレットのケースである。バッテリーがこういう状態になったこと事態が事件であったし、その後すぐにバレットをパドレスにトレードしてしまったフロントの素っ気無い対応も気になるところだったわけである。ヤンキースもそうだが、傭兵ばかりのチームは往々にして個人主義に走り崩壊しやすい。金で急速にチームを作ったカブスが、チームとしてまとまりを見せるのかどうかは、誰もわからないわけである。

というわけで、これまで日本人選手とメジャー契約を結んだことがなかったカブスのユニフォームに初めて袖を通す「誰か」は、このあたりの事情も理解した上であることを望みたい(1999年に野茂がマイナー契約を結んでいますが、この時はメジャー昇格を果たせず、彼は結局この年をブリュワーズで過ごしています)。

足枷がとれたレンジャース、このオフの目玉になるか!?

  • 2007/11/13(火) 13:29:39

スコット・ボラスとアレックス・ロドリゲスがヤンキースを離脱することが決まって、一人ほくそ笑んでいたであろうレンジャースが、やはりこのオフのFA戦線に名乗り挙げることになりそうである。
何故レンジャースが勝負に出れるようになったのか、それは2001年に結んだアレックス・ロドリゲスとの10年間、年俸総額2億5200万ドルの契約がチャラになったからなのだ。レンジャースはロドリゲスを2004年1月にヤンキースへトレードで放出しているが、この時未消化だった7年間の年俸の一部をレンジャースがその後も負担する形になっていたのである。そして今回のFAによって2130万ドルの支払義務が消滅したのだ。

これで湧き立ったのがテキサスの新聞で、広島からFAの黒田と中日を離れる可能性が高い福留をターゲットに、日本人選手獲得に動けとハッパをかけたのだ。地元紙フォートワース・スターテレグラムは「レンジャースが無関心でいられるわけがない。このチャンスを逃すにはあまりにも惜しい。福留は食指が動くにふさわしい外野手で、黒田はすぐにローテで投げられる」と煽った上で、「もし60年前にウィリー・メイズやハンク・アーロン、ジャッキー・ロビンソンらを金銭で獲得できたなら、いったいいくら払うだろうか?」とまだ黒人選手がいなかった時代を引き合いに出し、有名になる前の彼らをFAで獲得できていたらとんでもないチームができていたかで、今の状況を例えている。加えて「既にシアトルには日本のウィリー・メイズがいる。そして多くの日本人選手がメジャーでスターになりつつある」と同地区のライバルであるマリナーズのイチローをイメージさせながら、このオフの日本人選手獲得が魅力あるディールだと結んでいるのだ。

確かに、レンジャースは金に糸目をつけない球団ではある。昨年も松坂のポスティングに3000万ドルの値を投じているし、故障あがりでどれだけ回復しているかはっきりわからず各球団が手をこまねいていたエリック・ガニエと契約し、シーズン途中で放出するドタバタも見せている。ガニエの件だけで600万ドルをドブに捨てただけでなく、2006年にはクローザーの役をきっちり務めていた大塚をセットアッパーへ回した末に故障による戦線離脱を招いて、結局9回を任せられる投手が誰もいなくなるという信じられない事態まで引き起こしたのである。こうしたドタバタを見ているテキサスのメディアが、レンジャースの尻を叩きたくなる心情は非常によくわかるところなのだ。

ア・リーグ西地区は元々日本人選手が活躍できる土壌にある。1997年に長谷川がエンジェルスに入団し、2002年にマリナーズへ移籍した後も含めて9年間メジャー生活を送っただけでなく、佐々木、イチロー、城島とマリナーズは2000年からずっと日本人選手をレギュラーで起用、アスレチックスにも薮が在籍したことがあり、レンジャースは現在大塚と契約している。つまり、地区4球団全てが日本人選手を受け入れた経緯がある点は、これからメジャーに挑戦しようという日本人選手にも大きな魅力になるはずだと言えるのだ。しかも現在、エンジェルスとマリナーズも黒田を狙っていると言われ、メジャー全体を見ても彼の評価は極めて高いわけである。・・・あの広島で今季も12勝した彼のパフォーマンスは、松坂よりも上だという声も大きいのだ。そして、もしエンジェルスがFAのコローンの代りに黒田を獲得してしまうと、彼との対戦を余儀なくされるレンジャースはまた苦しい事態に追込まれてそうでもある。

現実問題として、レンジャースは本気で先発ローテの建て直しを考えなければならない時期に来ている。エースはケヴィン・ミルウッドということになるが、彼でさえ10勝14敗、メジャー4年目だったカメロン・ローとフィリーズ時代の変幻自在な投球が完全に影を潜めているヴィンセンテ・パディーヤが6勝で続くという体たらくなのだから。しかも二桁敗戦投手が4人もいるのである。この状態のままでは来季も、・・・というか2000年以降のこのチームは地区3位と4位しかないのだが・・・、またポストシーズンとは無縁の戦いを強いられることは間違いがない。
また主砲マーク・テシェイラもフラッグシップ・ディールでブレーブスに放出してしまった為、打線も悲しいほどの脆弱ぶりである。イチローがライバルと認めるマイケル・ヤングが辛うじて気を吐いているだけで、将来を嘱望されているイアン・キンスラーがその能力を開花させるまでにはもうしばらく時間がかかるし、まさか来年もサミー・ソーサにDHを任せるようなこともできないわけである。福留を獲得できれば一つの核ができることは確かであろうし、それに賭けてみる価値はこのチームだからこそあると言えるのだ。

何にしても、レンジャースは未だにイヴァン・ロドリゲスやホワン・ゴンザレス、ウィル・クラークのいた時代から脱却できていない印象が強い。そして、レイズやナショナルズ、パイレーツのように慢性的な資金難というわけではなく、ヒックス・オーナーは金を出す時はふんだんに振る舞う人でもある。ここは是非とも積極的に動いて欲しいところである。

ボストンもストーブリーグの渦中へ

  • 2007/11/05(月) 13:00:35

シャンパンファイトができたから皆残留、とならないところがメジャーの面白いところでもあるわけで。

ロッキーズをスウィープして通算7回目のワールドチャンピオンに輝いたレッドソックスも、他球団の例に漏れずこのオフは選手の動きに神経を注がないといけないようである。
まず、毎年のように移籍が囁かれるマニー・ラミレス、今回はボストン残留を早々に決意した模様。11月3日にNBCで放送されたトーク番組にゲスト出演すると「かつてのヤンキースのように、今レッドソックスは王朝を築いているよね。そしてボストンは最も居心地がいい街の一つだし」と語って、来季も赤い靴下を履くことを宣言している。今季のラミレスは右脇腹痛の為133試合の出場に留まったが、打率.296、20本塁打、88打点とそれなりの数字を残した上、ポストシーズンでは打率.349、4本塁打、16打点を爆発して帳尻をうまく合わせている。ラミレスは「球団が素晴らしいチーム構築を実現してくれた。自分を自分らしく、マニー・イズ・マニーでいさせてくれたしね」とかつてはうるさいボストンのマスコミに反発していたにも関わらず、現状に満足していることを明かしている。

一方、去ることが確実と見られているのがカート・シリングで、通算216勝とは言え40代に入っている彼がFAとなった現在、レッドソックスは残留について積極的な動きを見せていない。その一方で、カージナルスのモゼリアクGMがシリングの代理人と接触していることが判明し、更に獲得への興味があることを新聞記者に伝えたことから、この話は俄然現実味を帯びている。シリングにとってナ・リーグはダイヤモンドバックス時代以来5年ぶりということになるが、フィリーズ時代も含めて16年も過ごしているだけに違和感を覚えるようなこともないはずだが、先発ローテの建て直しを狙うカージナルスのリクエストに応えられるかどうかは、なんとも言えないところではある。ただ、シリングの奥さんであるジョンダがレッドソックスの選手の奥さん達に別れの言葉を告げたとも言われているだけに、引退も含めて少なくとも来年はボストンにいないことだけは確実な状況のようである。

最後は、どうするか迷っている人の話である。
ワールドシリーズMVPに選出されたマイク・ローウェルが、このオフにFAの申請をするかどうかを決め兼ねている中、ビッグ・パピことデーヴィッド・オルティスが「絶対に移籍させないでくれ」とテレビを通じてテオ・アプスタインGMにメッセージを送っている。オルティスもラミレス同様トーク番組に出演していたのだが、その中で「マイクなしには優勝はできなかったよ。テオ、頼んだぜ!」とハッパをかけたのだ。
ローウェルは今季154試合に出場し打率.280、21本塁打、120打点をマーク、ラミレス、オルティスの後に控えるもう一人の強打者として素晴らしい活躍を見せている。ポストシーズンに至っては打率.451、2本塁打、15打点の爆発ぶりで、オルティスがローウェルを評した言葉はまさにその通り!ということなのである。ローウェルの今季年俸は900万ドルで、当然次の契約は1000万ドルの大台が確実と見られているわけだが、実は彼のポジションである三塁は各球団が補強ポイントとしている為にFAとなれば好条件がいくつも提示される可能性があるのだ。特にアレックス・ロドリゲスとの再契約を拒否したヤンキースは喉から手が出るほど欲しい選手と見ているに違いない。オルティスがわざわざテレビでこの話題を持ち出したのも、こうした売手市場を見越しての牽制だったわけである。

ストーブリーグはこれから各所でがんがん薪をくべる状況になってくる。どんなサプライズが我々を待っているのだろうか。

FAのA-ROD、代理人のスコット・ボラスがヤンキースに驚くべき条件を突きつけていたことが明らかに。

  • 2007/11/04(日) 10:01:51

ワールドシリーズ開催中に、アレックス・ロドリゲスがこのオフFAとなることが明かされた件で、スコット・ボラスにはメジャー機構からルール違反であると指摘を受け、彼はこれについて謝罪を行ったわけだが、何故たかが数日待てずに公表を急いだのか、その理由が11月2日に判明している。

アレックス・ロドリゲスは、2001年にレンジャースと10年間、年俸総額2億5200万ドルという現在でもアメリカプロスポーツ最高総額となっている契約を交わしているが、この中に「7年目となる2007年が終了した時、FAとなることができる」という条項が盛り込まれており、今回はそれが行使されることになっている。これに対してヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMは引き止め策として5年間、年俸総額1億5000万ドル(年平均3000万ドル!)の契約を持ちかけたが、ボラスは「アレックス・ロドリゲスと直接交渉したければ、最低でも3億5000万ドル用意しろ」と通告したというのだ。この数字はもはや選手個人に支払う金額ではなく、球団買収の時に持ち出されるレベルのものと言え、さすがのヤンキースもこれには撤退を選択する以外道はなかったわけである。

仮に「最低線」の3億5000万ドルで10年間の契約を結んだとしても、年平均では3500万ドルとなり、これはイチロークラスの選手2人と契約できる金額なのだ。そればかりか、今季のナショナルズのベンチ入り選手年俸上位25人の総額が2674万7500ドルだったことを考えると、ボラスが吹いた条件がいかに現実離れしているかがよりはっきりするはずである。しかしボラスは「2001年に比較すれば、現在のメジャーの景気は好転している。それを考えれば、アレックス・ロドリゲスはもっともらっていい」と見積もりの根拠を強調している。

確かに、ロドリゲスは当代一のメジャーリーガーであることは疑いようのない事実ではある。7月27日に32歳になったメジャー14年目のこの選手は、ここまで1904試合に出場して2250安打、518本塁、1503打点をマークしている。1994年と1995年が両年合わせて65試合にしか出場していない為、若干正確性には欠ける数字になるが、年平均で160安打、37本塁打、107打点はずば抜けた成績だったと言っていい。首位打者1回(1996年)、ホームラン王5回(2001年~2003年、2005年、2007年)、打点王2回(2002年、2007年)、ア・リーグMVPにも2回選ばれている(2003年、2005年)。
ボラスが狂気とも言えるほど強気になれるのは、実績がそれを後押ししているからに他ならない、というわけなのである。そして、現在の契約が始まった2001年以降は大きな故障もなく年間150試合以上の出場を続けている点も評価できるのだ。

しかし、だからといってこの条件は当然だと言えない理由も存在する。
ロドリゲスはマリナーズ時代の1995年、1997年、2000年にポストシーズンを経験したが、ここではワールドシリーズまで駒を進めることができなかった。ヤンキースに移籍した2004年は、ツインズとのALDSでこそ打率.421をマークして気を吐いたものの、3連勝の後4連敗を喫したレッドソックスとのALCSで打率.258、エンジェルスと戦った2005年のALDSでは打率.133、タイガースとの対戦だった2006年のALDSも打率.071、そしてインディアンスと戦った今季のALDSでも打率.267と、ポストシーズンに全く活躍できない状況に陥っているのである。元監督のジョー・トーレは、主砲の不振でシリーズ中の打線組み替えを余儀なくされるのが常だったことも記憶に新しい。
更に、ここ数年は守備に不安も抱えている。ロドリゲスはレンジャース時代の2002年と2003年にゴールドグラブ賞に選出されているが、これはショートを守っていた時代のもので、ヤンキース移籍でサードにコンバートされてからはその冴えが消失している。特に年間に24ものエラーを記録した2006年は、ファンやメディアから痛烈な批判を浴びたものである。
そして、仮に終了年が40代に突入するここから先の10年間の契約は、いくらここまで怪我をせずにプレイしてきたからとは言え、無事にそれを全うできるかという問いに答えられる者はいない。年間の2/3を故障者リストで過ごすような事態になった時のことを考えると、3000万ドルを越える年俸は球団にとって恐怖と呼べる代物になりそうなのだ。

現在、ロドリゲスについてはボンズとの契約延長を捨てて2000万ドル弱の浮きができたジャイアンツ、トーレを新監督に招いて勝てるチーム作りを推進しようとしているドジャース、そしてストーンマンGM退任で体制変更の岐路に立つエンジェルスが獲得に興味を示していると言われている。ロドリゲスがニューヨークのマスコミに辟易としていたことを思えば、のんびりとした西海岸のチームはフィットする可能性は高い。特にトーレのいるドジャースはロドリゲスには魅力的に映るかもしれない。しかし、ボラスが提示する条件を飲めるかと言えば、現段階ではおそらくNOである。だが、・・・恐ろしいことに、ボラスは過去に無理だと言われた扉をいくつもこじ開けてここまで来ている。吸血鬼と罵られようが、その手腕もまたロドリゲス同様当代一なのだ。昨年は松坂移籍で総額1億ドルを動かしたこの男が、今年のオフもメジャーを席捲することは間違いがない。


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